音楽はいつの時代も、社会やそこに生きる人々に共鳴してきました。コロナ禍にリリースされたアルバムもまた「今」を映し出します。
チャーリーXCXの『how i’m feeling now』は、自宅隔離中に“リモートワーク”で完成しました。制作過程にファンを巻き込み、いま感じている不安や感謝、苛立ちがリアルタイムでSNSに公開されていくさまはさながらドキュメンタリー。完璧なプロダクションの作品より、いまはそのリアルさがZoom越しで友人に会うかのようでうれしい。苦境をポジティブに捉える、柔軟な発想に感銘を受けました。
#BlackLivesMatter で議論されている人種差別や偏見を“自分ごと”として捉えるための視点をくれたのは、リナ・サワヤマの『SAWAYAMA』。ヨーロッパに生きるアジア人としての葛藤と自身のパーソナリティを表現した作品です。コロナウイルスの感染が広がる欧米では、まさにアジア系の人々が生きにくさを感じているわけで、同じようなことはきっとあらゆるマイノリティに対して起こりうる。私自身も自覚的になろうと思いました。
フィオナ・アップルの新作は、新しい生活様式で渇望する野性味が、すべてそこにあるかのような目の覚める1枚です。ドラムやら空き缶やらを手当たり次第叩くガチャガチャしたリズム、口角泡を飛ばすボーカル、生々しいブレスノイズ。私はフィオナ・アップルの一喝でバランスを取り戻したのか、やさしい音楽しか聴けなくなっていた呪いが解けました。
音楽が変わりゆく日々を生き抜くヒントやエネルギーとなりますように。
CHARLI XCX『HOW I’M FEELING NOW』
ファンとインスタライブで「anthems」の作詞をしたり、アートワークの選定を委ねたり、人との繋がりを渇望するロックダウン中の39日間に制作したDIYアルバム

WARNER MUSIC 2020 ※配信のみ
RINA SAWAYAMA『SAWAYAMA』
イギリスを拠点に活動するポップアーティスト。日本生まれロンドン育ちという出自から、パーソナルな部分にまで思いを巡らすセルフポートレート的アルバム

FIONA APPLE『FETCH THE BOLT CUTTERS』
ニューヨーク出身のシンガーソングライターによる8年ぶりのスタジオアルバム。生々しいパーカッションを多用し、抑圧するものからの解放を示唆するような快作
