私小説「死の棘(とげ)」で知られる作家、島尾敏雄と同じく作家の妻、ミホの出会いを描いた「海辺の生と死」(29日全国順次公開)で、越川道夫監督(51)が満島ひかりから情念あふれる演技を引き出している。
原作は、ミホの同名小説や敏雄の「島の果て」など。昭和19年、奄美群島のカゲロウ島(加計呂麻島がモデル)。トエ(満島)は、海軍特攻艇の隊長、朔(さく)中尉(永山絢斗)と出会い、ひかれ合う。しかし戦況は悪化し、朔の出撃の日がやってくる…。
「島尾夫妻のことをずっと映画にしたかった。恋愛映画だが、単に戦争を背景にしたロマンチックな物語にはしたくなかった」と越川監督。
朔を全身で愛するトエを満島が熱演。朔との密会のため、人目を避けて岩によじ登り、海に潜る。「死の棘」で描かれるように、彼女が後に精神を病むことを考えると、その姿は哀切きわまりない。
