舞台は昭和62年のある田舎町。中学生のタカシたち4人は、勉強も駄目、スポーツも駄目、不良にもなれないという、ぐだぐだの毎日を送っていた。ある日、町に1軒だけのレンタルビデオ店に、人気AV女優がサイン会のためにやってくるという噂が流れる。エロいことには敏感な4人は、連れだって行くことにしたのだが…。
評判を呼んだ「百円の恋」(武正晴監督)の脚本家、足立紳の監督デビュー作で、自らの中学生時代をモチーフに、いかにも日本的な「スタンド・バイ・ミー」を撮り上げた。事故を起こして家でふらふらしている父親を軽蔑し、「ああはなりたくない」と思うタカシだが、一方で将来の展望のない自分に焦りを感じている。そんなやるせない思春期の一瞬を、小ネタをちりばめながら鮮やかに切り取っていて、何とも切ない気持ちにさせられる。大した事件が起こるわけでもない一日を、ユーモアを交えながらスリリングな冒険物語に仕上げてしまう足立監督のストーリーテリングの巧みさには恐れ入った。24日、東京・テアトル新宿で公開。1時間54分。(藤)