イタリアのジャンフランコ・ロージ監督が、地中海の孤島、ランペドゥーサ島に1年半、腰を据えて取り組んだドキュメンタリー。昨年のベルリン国際映画祭では最高賞の金熊賞に輝いた。
イタリア本土よりもチュニジアに近いランペドゥーサ島は、以前からヨーロッパを目指す多くのアフリカ難民が渡ってきていた。その過程で命を落とす者も多い中、島民は昔ながらの素朴な暮らしを続けている。木の枝でパチンコを作って遊ぶサムエレ少年のすぐそばでは、艱難(かんなん)辛苦の末に島にたどり着いたアフリカの人たちが魂の叫びを訴えていた。
ロージ監督は、前作の「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」同様、まるでカメラの存在を感じさせない自然なアプローチで被写体に迫る。