物語に言葉を借りた珠玉のドキュメンタリー。2歳で言葉を失ったオーウェン・サスカインドは自閉症と診断され、医師から「一生話せないかもしれない」と言われる。だが、大好きなディズニー映画のセリフを借りれば語れることを、父親が発見。家族は会話を取り戻していく。その歴史と、成長したオーウェンの挫折、不安、孤独を現在進行形で描く。
圧巻は、ロジャー・ロス・ウィリアムズ監督が、オーウェンの両親や兄へのインタビューを交えて家族の心情を正面から描いたこと。障害の有無にかかわらず、多くの親は、子供を守ろうとするあまり、傷ついたり失敗したりする前に手を出しがち。だが、人は誰でもそこで成長する。オーウェンにも挫折の“チャンス”が必要と考え、我慢して見守る両親の姿に観客はきっと共感するだろう。