「グッバイ、レーニン!」をヒットさせたドイツのヴォルフガング・ベッカー監督が12年ぶりに手がけた長編で、ダニエル・ケールマンのベストセラー小説を映画化した。野心に満ちた美術評論家のツェルナー(ダニエル・ブリュール)は、名声を得ようと盲目の天才画家、カミンスキー(イェスパー・クリステンセン)の伝記を書くと宣言。スイスの山奥にある彼の屋敷に押しかける。死んだと思っていたかつての恋人、テレーゼが生きていると聞かされたカミンスキーは、ツェルナーを伴って彼女に会いに出かけるが…。
誇張した人物描写に奇抜な色彩感覚、空虚な会話と、独特のセンスでふわふわとした笑いを演出する。中でも冒頭、めまぐるしく繰り出されるコラージュ画像に速射砲のようなナレーションでカミンスキーの偉大さを説明し、一気に架空の世界観を見る者に植え込む手法は鮮やか。伝説の盲目画家が描く絵画をきちんと映像で示していることにも感心した。