今年7月にアルゼンチンの作曲家でタンゴの革命児とされるアストル・ピアソラ(1921~92年)が没後25年を迎える。この節目に、日本を代表するジャズ・バイオリニストの寺井尚子がピアソラに敬意を表したアルバム「ピアソラモール」を発表した。寺井にその魅力を聞いた。
「ピアソラのメロディーは1度聴いたら忘れられないほどの強さがある。構成もドラマチックです」
寺井は魅了される理由をこう語る。ピアソラはタンゴにクラシックやジャズの要素を加えて独自の世界を作り上げたバンドネオン奏者。一方、昭和63年にプロデビューした寺井は日本ジャズ界最大の栄誉とされる「南里(なんり)文雄賞」や芸術選奨文部科学大臣新人賞など数々の受賞を重ねている実力派アーティストだ。
寺井がピアソラの曲を初めて収録したのは平成13年発売のアルバム。「タンゴをやろうと思ったのではなく、『リベルタンゴ』という曲の中に印象に残るメロディーを見つけてしまった。これをやりたいと思ったんです」。昨年は東京・丸の内で開催されたジャズの祭典「東京JAZZ」でピアソラのバンド仲間と共演も果たした。「音楽のジャンルは問わないというのが私の主義。忘れられないようなメロディーがあれば、その曲を私なりの編曲でジャズ調にしています」