お話を伺ったのは、スクール を併設した森田さんのご自宅。 フィトテラピースクールからは、 多くの卒業生を輩出している

《オギノマ》フィトテラピーがあれば、生活が快適になる


 7月&8月号のゲストは、日本のフィトテラピーの第一人者、植物療法士の森田敦子さん。そもそもフィトテラピーって何なのか…?まずはじっくりと話を伺いました!


小木:今回のゲストは、フィトテラピーにおける僕の師匠、森田敦子さんです。フィトテラピーに出合って、僕の生活やからだは、かなり変化しました。僕は、ジャンクなものも食べるしお酒も好き。生活も不規則になりがちですけど、フィトテラピーの知識が身についてからは、体調管理がしやすくなりました。

森田:それは素晴らしい。日本ではまだなじみの浅いフィトテラピーですが、ヨーロッパでは薬と同等の存在。ハーブの調合や処方は、医師や薬剤師が行うんです。

小木:読者の方に向けて、フィトテラピーとは何か、ご説明をお願いできますか。

森田:はい。フィトテラピーとは、日本語にすると「植物療法」という意味になります。なじみのあるところでいえば、漢方もフィトテラピーと近い存在です。ハーブなどの植物の力を借りて、人間の体に本来備わっている自然治癒力や免疫力を高める療法がフィトテラピーです。

小木:漢方は、なじみがあるのでわかりやすいですね。

森田:フィトテラピーは、漢方とは違うアプローチで女性の悩みに応えてくれるという特徴があります。私はパリでフィトテラピーの勉強をしていたのですが、フランスでは「エルボリステリア」というハーブ専門の薬局が街のそこかしこにあるんです。みんな、からだに不調を感じると、病院へ行く前にエルボリステリアに行き、ハーブを調合してもらうのが当たり前。私もパリで植物のパワーに魅了されて、「これを日本に広めるのが私の使命!」と思うまでになってしまいました(笑)。

小木:フランスではハーブが医療現場でも使われていますよね?

森田:はい。中には医師の処方箋がないと手に入らないものもあります。それだけ効果が強いということですよね。日本では、ハーブというとアロマなどのリラクゼーションを連想しがちですが、フランスでは立派な治療法として認められているんです。

小木:化学的な薬品との違いはどこにあるんでしょう?

森田:やはり自然の植物を使っているというところですね。私たち人間も自然の一部ですから、からだに負担なく治癒力を高められるという点が魅力です。また、植物療法というとハーブティーやアロマテラピーを思い浮かべる人が多いのですが、ハーブに限らず、自然の恩恵を受けた野菜や穀物を口にすることも立派な植物療法なんです。

小木:なるほど。毎日の食事から体調を整えるということもフィトテラピーなんですね。そう思うと、日本人の生活にもかなり浸透しているのかもしれませんね。

森田:食事以外にも火傷や虫刺されにアロエを塗ったり、打ち身には里芋の粉で湿布をしたり、日本古来の「おばあちゃんの知恵」も植物療法といえます。この植物のパワーを、もっと多くの人に知ってもらいたい。日本にもエルボリステリアのような場所が増えるといいなと思っています。

小木:僕もそう思います。僕らのショップでも、森田さんに監修していただいて、タンチュメール(植物のエキスを凝縮したシロップ)やハーブティーを展開していますが、お客様の反応がすごくいい。

森田:嬉うれしいですね。興味を持ってくれる人は増えているものの、まだまだ情報が少ないので、スタッフと相談しながら選べる環境はとても大切だと思います。

小木:そうですね。次回は森田さんご自身とフィトテラピーについて、もっと深く伺っていきます!

植物療法士 森田敦子さん

植物療法士。大学卒業後、航空会社の客室乗務員を経てフランスへ留学。パリの大学で4年間植物薬理学を学び、帰国後起業。植物療法に基づいた化粧品開発の傍ら、「ルボア フィトテラピースクール」の主宰も務める

HERBORISTERIA

コスメキッチンで展開する、森田さん監修のタンチュメールやハーブ。不調に合わせた調合は、年齢や性別を問わず取り入れられる

BOOK

身近な植物を使った植物療法を紹介する、森田さんの初の著書が発売中。『自然ぐすり』1500円(ワニブックス刊)


小木充(おぎ・みつる)

伊勢丹社員として「ビューティアポセカリー」の立ち上げに参画。現在はマッシュ ビューティー ラボ副社長としてCosmeKitchenのクリエイティブディレクションを行う、仕掛け人。世界中のオーガニックブランドの日本上陸にも多く関わる。





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