more treesのオフィスのテラスで記念撮影。オフィス内には、間伐材から作られたデスクが並び、TSUMIKIをはじめ 今までに水谷さんたちがつくってきたプロダクトもずらり。小木さんも興味津々。

《オギノマ》自然が人間を豊かにする


 今回のゲストは、音楽家・坂本龍一氏が代表を務めるmore trees(モアツリーズ)の事務局長、水谷伸吉さん。ただ森を守るだけではなく、“都市と森をつなぐ”をテーマにした、革新的な活動についてお話を伺った。

小木:more treesの設立10周年、おめでとうございます。

水谷:ありがとうございます。10年、あっという間でした。

小木:2007年にmore treesが立ち上がった時、実は僕も独立をして、ひとりで仕事を始めたタイミングだったんです。

水谷:そうでしたね。その頃から小木さんにはいろんなチャリティに声をかけてもらっていました。

小木:more treesは、ただ森林を守るというだけでなく、より自然を身近に感じるために、国産材を使ったプロダクトをつくっていますね。そのプロダクトが本当に素晴らしくて、大ファンなんです。リンゴのけん玉とか、隈研吾さんが手がけた積み木とか。デザインも本当に素敵です。

水谷:森林問題を前面に押し出しすぎると、ちょっと距離を感じてしまう人もいるんですよね。だから、日本の将来を担う世代に響くモノをつくりたいなと思っています。

小木:隈研吾さんをはじめ、コラボレーションしているデザイナーもそうそうたる顔ぶれですね。

水谷:ありがたいことに、僕らの考えに賛同してくれる方がたくさんいて、そのおかげで僕らの活動がより認知されるようになりました。

小木: そもそも、moretreesが誕生した経緯は?

水谷:森林は温暖化などから地球を守り、さらにCO2を吸収してくれる、人類の生活に欠かせない存在なんです。でも、都市部に住む人たちはその重要性になかなか気づけない。自分たちが生きるために欠かせない飲み水や空気、それが自然によってつくられていることすら忘れがちです。そのことに気づいてほしくて、このmore treesが生まれました。

小木:森林問題に取り組む団体は数多くあるけど、more treesさんはアプローチの仕方が見事。さっきも話に出た積み木とか、まな板とか、森林問題に興味がない人でも「これいいな」って、手に取りやすいんですよね。

水谷:ありがとうございます。国産の木材を材料にして商品を作っているのですが、それだけでは誰も買ってくれない。まさに「いいな」と思ってもらえないと商品としては負けなんです。だから、素材だけではなくデザインにもこだわってつくっています。

小木:そのバランスが絶妙です。僕が扱っているオーガニックコスメもそうだけど、まずは物として「いいな」と思ってもらうことが第一。それを入り口に、「こういうことだったのか」と、本質に気づいてもらえたらいいですよね。

水谷:僕らの仕事はみなさんが森に興味を持つきっかけをつくることだと思っています。普段僕らが何げなく生活している中で、どれだけ自然の恩恵を受けているか、どれだけ自然を犠牲にしてしまっているか、それを知るだけでも意識はだいぶ変わると思うんです。

小木:確かにそうですよね。水谷さんと話していると、僕もその想いをどんどん広めたくなる。そのために何をしたらいいのか、アイデアがどんどん浮かんできます。

水谷:僕も小木さんとのお話は刺激になってます。

小木:都市で生活している、『メトロポリターナ』読者のみなさんに望むことは?

水谷:少しでもいいから、自然に目を向け、考えてほしい。自然をいたわるということは、巡り巡って未来の自分をいたわるということにつながります。そうすれば健康面だけじゃなく、精神的にも豊かになる。みんなが早くそれに気づいて、自然にアクションできるようになるといいなと思います。


More trees事務局長 水谷伸吉(みずたに しんきち)さん

環境NPOにて東南アジアの熱帯雨林再生プロジェクトに携わった後、moretreesの立ち上げに参画。以降、事務局長としてプロダクトのプロデュースやグリーンツーリズムの企画、林業活性化などを手がける。

http://more-trees.org

TSUMIKI

建築家・隈研吾氏がデザインしたユニークな積み木。材木から製造工程まで厳しい条件をクリアし、森林保全をサポートする国際機関、FSCの認証を取得


小木充(おぎ・みつる)

マッシュビューティー・ラボ副社長。ナチュラル&オーガニックコスメを扱うショップ「コスメキッチン」の仕掛人として、世界中を飛び回る。4月末に、表参道ヒルズに「コスメキッチン ビューティ」をオープンした





この記事をシェアする

LATEST POSTS