selection&text: 稲葉智美

《音楽日々帖》LA気鋭の音楽家たちはゲームがお好き


 日本のゲーム音楽は、遠くLAの音楽シーンの鬼才たちに大きな影響 を与えているのかもしれません。カマシ・ワシントンが最新アルバムで「Street Fighter Mas」を発表しました。自分がゲームセンターに登場する時のテーマ曲なんだそうで、「カマシ、お前もか!」と突っ込んでしまいました。カマシ「も」というのは、盟友のサンダーキャットや、LAのブレインフィーダー・レーベルを主宰するフライング・ロータスも大のゲーム好きなのです。この2人を含めた海外ミュージシャンが日本のゲーム音楽について語る『Diggin' In The Carts』(2014)というドキュメンタリーがあります。任天堂のループ再生は洗練されていたとか、ゲームはむしろ音楽を聴くためにプレイしていたとか、彼らがゲーム音楽を熱心に「鑑賞」していたことに、目から鱗でした。

 ブレインフィーダーはジャズやビートのジャンルを拡張するような音楽を世に送り出すレーベルですが、その自由さはゲーム音楽にも通じます。8ビット/16ビットサウンドで表現されるゲーム音楽も、実はクラシックやフュージョン、バロックロック、ワールドミュージックと非常にバラエティ豊かなんですよね。 それに、カマシやサンダーキャットが所属するLAジャズコミュニティの面々は、いつも互いのソロアルバムやライブに参加し合っていて、まるでゲーセンにたむろする同級生みたいに仲がいいのです。

 3人が揃って来日する8月、「ゲーマー」という視点で彼らの音楽を聴いてみてはいかがでしょう?

KAMASI WASHINGTON 『Heaven and Earth』

 ジャズサックス奏者。若い頃の夢はゲーマーだったそうで、ストリートファイター王者決定戦に向かうPVは必見。ブルース・リー映画『ドラゴン怒りの鉄拳』のテーマ曲カバーも秀逸

metro188_music_01.jpgBEAT RECORDS 2018

THUNDERCAT 『Drunk』

 ブレインフィーダー所属のベーシスト。日本のゲームやアニメの大ファンで、本作にはチープなゲーム音を使った「Tokyo」も収録。ちなみに最新曲のタイトルは「ファイナルファイト」

metro188_music_02.jpgBEAT RECORDS 2017

FLYING LOTUS 『You’re Dead!』

 サンダーキャットとカマシ・ワシントン参加。アートワークは漫画家の駕籠真太郎。この文脈だとアルバム名は「お前はもう死んでいる」(『北斗の拳』)を思い出さずにはいられない

metro188_music_03.jpgBEAT RECORDS 2015





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