《音楽日々帖》R.I.P


 2016年上半期の音楽ニュースは「天国に旅立つスターが多かった」ということに尽きます。デヴィッド・ボウイ、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのモーリス・ホワイト、ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティン、プリンス。

 ラジオは音楽と切り離せないメディアです。訃報が入った時は私もろうそくを灯ともすような気持ちで曲をかけました。このコラムをお読みのどれくらいの方が日常的にラジオを聴いているかわかりませんが、ボウイの訃報が飛び込んできた寒い1月11日の夕方も、プリンスが亡くなったと報じられた4月22日も、ラジオからは彼らの音楽が流れ続けました。特に心を打たれたのがジョン・カビラさんの番組。プリンスの訃報が入ったのは深夜だったにもかかわらず、朝6時から始まる5時間半の生放送は全編追悼特集でした。失った悲しみを共有できるDJや音楽ファンが集っているというのは温かい。

 皮肉だけれど、訃報が届くと知られざるエピソードがたくさん出てきます。ボウイが居酒屋で京大生にアメリカ進出すべきか相談したという話や、hydeさんはボウイに、西川貴教さんはプリンス・アンド・ザ・レヴォリューションに憧れたというJ-POPへの影響など。これは以前ピーター・バラカンさんがおっしゃっていたことですが「訃報は、埋もれてしまった昔の素晴らしい音楽を届ける貴重な機会でもある」と。今年の上半期は私自身、どれだけの素晴らしい音楽を再発見したか知れません。


David Bowie『Heroes』

 鋤田正義さん撮影のジャケットにみとれて手に取ったのが、ボウイとの出会いでした。鋼のような愛を歌った「Heroes」や、日本に造詣の深いボウイが琴を弾く「Moss Garden」などを収録

ワーナーミュージック・ジャパン 2014


Prince『Prince』

 先入観に阻まれ、数年前まで聴かず嫌いでした。ある日ラジオから流れてきた「I Wanna Be Your Lover」の一撃で改心。今の時代にもフィットする最高に気持ちいいポップアルバム

ワーナーミュージック・ジャパン 2014


The Beatles『Rubber Soul』

 ジョージ・マーティンが手がけたビートルズは私にとってロックの教科書。バロック調のピアノで奏でる「In My Life」は、おばあちゃんになった時こんな風に思えたらいいなと思う曲です

 ユニバーサルミュージック・ジャパン 2014


selection & text: 稲葉智美(いなば・ともみ)

 ラジオDJとして活動するほか、BGM選曲やナレーションを手がける。フェスとライブを愛する音楽女子。いつか英国のグラストンベリー・フェスに行ってみたい

Twitter: @tommyjan15





この記事をシェアする

LATEST POSTS