illustration: Yu Fukagawa

《お多福美人講座》美髪とストレス

コラム

 「髪は女の命」といわれます。女の園たる花柳界では、髪の美しさはことに重要。髪が細く猫っ毛の私には、豊かで艶やかな髪が羨ましく、美髪の持ち主に会うたびに、その秘訣を伺っていました。特別なヘアケアやサプリを教えてもらえるのかと思いきや、皆一様に、「そんなぁ~、何もしてないわよ」という答え。テスト前の「全然勉強してな~い」と同類の答えかと疑いつつ、あながち嘘でもないような…。

 京都のあるお姉さんからは、「昨日は※ママレモンでシャンプーどす」という言葉を聞き、度肝を抜かれました。地毛を舞台用に結ったのをほどくには、中性洗剤がいちばん落ちやすいのだとか。そのお姉さんは平均睡眠時間が3時間くらいで、肌はピカピカ、エステは未経験、「そんなものに行くひまがあったら寝る」という方でした。

 「どうやら、髪が豊かなお姉さんは、小さなことに頓着していない」

 たどり着いた美髪の秘訣はこれでした。髪は東洋医学では、「血余」とも「腎の華」ともいわれます。栄養状態をよくして、体のろ過装置である腎臓に負担をかけない生活が理想ですが、酒豪で明るいツヤ髪のお姉さんを見ると、なにより大事なのは、クヨクヨしないことのように思えました。くだらぬことを思い悩む私とは大違い。でも、いくら前向きに見えても人間ですもの、悩みも不安もあるはずです。よく観察していると、美髪のお姉さんは、芸事に打ち込むときの集中力が違いました。一日のうち幾度か、日々のことを忘れる時間を持ち、一種の瞑想状態に入ることで、ストレスに強い精神が養われているように思えたのです。   

 芸事や瞑想や坐禅などでなくとも(禅宗のお坊さんが髪を伸ばしたところを見たいものです)、日々の家事を無心ですることでも、同じ効果が得られるように思います。美しい髪は、日常の暮らしからも伸びていくようです。

(※アラフォー以上の方はよくご存知の食器用洗剤です)



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