芸者は案外、旅の多い仕事。地方や海外でのセレモニー、パーティーやお座敷…その中でいろんな旅のスタイルがあることを知りました。
最近は、服を新調して旅に出る人は少数かもしれませんが、ある女性経営者の方は、たとえ一泊の旅行でも、ジュエリーをデザイナーと新調するのがきまりでした。新幹線には料亭の料理が運ばれ、女将さん、仲居さんも同乗! 宿に届いたお荷物は、単身用引っ越し並みで、
「旅はシンプルが一番」というその頃の考えが変わりました。財力や企画力があれば、こんな旅も素敵です。
そうかと思えば私の朋輩は、厳選した荷物を小分けして風呂敷に包み(とっても便利!)、事前に宿に送り、小さなカバンだけで移動していました。そして宿に着くや、家具をレイアウトし直し、お気に入りの日用品を配置します。少ない荷物でも、日常の延長を快適に過ごしているようでした。彼女は、大きな荷物を女が(特に着物で)持ち歩くのに反対らしく、出張帰りにスーツケースで待ち合わせに行くというと、「そんな姿で来たら、他人のふりをする」とのことでした。あんまりとも思いますが、大きな荷物に振り回される私の様子は、たしかに少々ぶざまでした。その点、あるオペラ好きのお姉さんは、毎年一人で「海外オペラ三昧の旅」に出るので、日頃から鍛えていて、大きなスーツケースを軽々運び、とってもかっこいいのです。
旅のかたちって本当に人それぞれ。旅の目的を考えることはもちろんですが、自分にできること、できないこと、どうしても譲れないことを総合して考えると、快適な自分の旅のスタイルが見えてくるのだと思います。私の場合は、腕力も、重い荷物を持ってくれる人もないので、荷物は最小に。財布と、電車が止まっても楽しく過ごせるように、本だけは忘れず出かけるようにしています。
