illustration: Yu Fukagawa

《お多福美人講座》美人に見える振る舞い


 小さい頃からよく男の子に間違われた私は、女らしさに欠けるようで、今も気を抜くと性別不明になることがあります。ところがトークイベント等で「さぞ女らしい人であるはず」と、みなさんが視線を注いでくださるなか、そんな姿を晒すわけにはいきません。「即席でも、付け焼き刃でも、女らしく見える動き方」の基本に忠実に動くように心がけるのですが、その基本とは次の二点。

 一、自分中心で動かない

 二、散らかさずに揃(そろ)える

 日本のおもてなしの心にも通じるこの二つは、着物を着ると効果がよりはっきりして、その通りに動けば美しさが鮮明に、外れれば目を覆いたくなるように映ります。

 たとえばものを拾うとき、腰だけ曲げて膝を折らずにとると横着に見えますが、拾うもののそばに寄って、さっとかがんで拾うとどうでしょう。和服姿でそれをするだけで、美しさがパッと広がるようです。ものを手渡すときも同じく、机越しに手を伸ばすより、そばまで行ってお渡しするほうがずっと美しく見えます。楽な方法を選ばず、自分から歩み寄ることを心がけるというのが、一の極意。

 その二は体のパーツにも、動きにも言えるのですが、電車で女性が股を開いて口を開けて手をだらんと広げていたらどうでしょう。洋服でもなかなかの姿ですが、それが着物だったとしたら、見てはいけないものを見たように感じますね(もし電車でそんな姿の私を見たら、声をかけて起こしてください)。指先を揃える、膝を揃える、裾が広がるほどの大股・ガニ股で歩かない、脇をしめる、ということを心がけるだけで、女性はここぞの場面でぐっと美しく見えます。そのとき、もうひとつとても大切なのは背筋が伸びていること。良い姿勢はそれだけで、誰をも美人に見せる必殺技。早速お試しくださいませ。


 千代里(ちより)

 エッセイスト。元新橋芸者。著書に『捨てれば入る福ふくそうじ』、『福ふく恋の兵法』あど。先日小学校以来のキャンプで初寝袋体験をして、凍える夜を過ごしました。寝袋は良いものを使うに限りますね





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