門脇麦さん

プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」 門脇 麦

演劇, カルチャー

 17世紀の劇作家ジャン・ラシーヌがつくり上げた、フランス演劇の金字塔的”悲劇”と言われている『フェードル』。神話的世界観の中、美しいせりふで描かれていくのは、義理の息子への恋心をきっかけに、アテネ王・テゼの妻であるフェードルの運命が狂ってゆくという愛憎劇だ。2017年春、門脇麦は、大竹しのぶ、平岳大、キムラ綾子、今井清隆など実力派俳優の面々と共に、この歴史的名作に挑む。

 公演に向けての稽古を控えた1月下旬、フェードルの恋敵・アリシー役を演じる彼女に、舞台への意気込みを聞いた。彼女自身、古典に真正面から向き合う作品を演じるのは、はじめての経験だという。

 「愛憎劇ですが、美しく、女性の業や、強いパワーが感じられる舞台になると思います」

 この作品の魅力は、登場する女性たちの苛烈な力強さ。その強さを象徴する存在であるフェードルを、大竹しのぶが演じる。門脇麦は、大女優との初共演を喜びつつ、恋敵を演じる上での覚悟も。

 「アリシーは、ものすごく品があって気高い女性。この劇は、アリシーとフェードルに対等な存在感がないと物語が成立しなくなってしまう。私があまりにへなちょこ過ぎると、『フェードルの勝ちでいいじゃん』ということになってしまいますから。そうならないために、頑張らないと」

 デビュー以来、意欲的に活動の幅を広げ、昨年末にはミュージカルにも初挑戦。映画や演劇と、表現の場が変わりつつも、演技する上での想いは同じだ。

 「舞台でも映画でも、演じる際に意識しているのはリアリティについて。物語や感情のリアリティを舞台上で保ちたいと思っています。それが結果的に作品のためになると信じています」

 これまで世界各地で幾度となく公演されてきた『フェードル』の新たな一幕は、4月より上演される。今まさに役づくりが進められている門脇麦のアリシーと、大竹しのぶのフェードル。宿命的な恋敵を演じる2人の女の対峙が待ち遠しい。


かどわき むぎ

1992年、東京都生まれ。女優。2011年にテレビドラマでデビュー後、映画『愛の渦』(2014)で見せた大胆な演技が話題に。最近の出演作に、NHK連続テレビ小説『まれ』(2015)、『二重生活』(2016)、Netflixオリジナルドラマ『火花』(2016)などがある。2016年冬は『わたしは真悟』でミュージカル初挑戦を果たした。


『フェードル』

4月8日(土)〜30日(日)までBunkamuraシアターコクーンにて上演。5月より新潟、愛知、兵庫へ巡回予定。作:ジャン・ラシーヌ/翻訳:岩切正一郎/演出:栗山民也


photo: Rie Suzuki

styling: Junko Okamoto(Afelia)

text: Jun Asami(EATer)



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