小さな出会いの連鎖が生み出す、大きな奇跡
人気作家・伊坂幸太郎による恋愛小説集『アイネクライネナハトムジーク』が、この秋映画化される。物語の中心となるのは、日々“劇的な出会い”を待つ男・佐藤と、その彼女である紗季。映画では、二人の出会いを軸にさまざまな登場人物たちの物語が交錯し、伊坂作品ならではの伏線に満ちた群像劇が繰り広げられる。主人公・佐藤役を演じるのは、三浦春馬。その三浦と3度目の共演となる、ヒロイン紗季役の多部未華子に、話を聞いた。
「紗季ちゃんというキャラクターは、私の中ではなんだか理解しにくい…つかめない女性だな、という印象がありました。でも、現場では今泉監督が一つひとつのシーンや感情の流れについて、細やかに説明してくれたので、迷うことなく自然な状態で役に入ることができた気がします。撮りたい表情やシーンの空気感を、的確に演出してくださいました」
物語のテーマは「出会い」。本作では佐藤と紗季はもちろん、そのほかの登場人物たちが10年のときを超えて紡ぎ出す、さまざまな出会いの物語にも注目したい。理想的な出会いについて、多部に尋ねてみると…。
「やっぱりロマンチックなほうがいいですよね。現実では、なかなかないかもしれないですが、佐藤と紗季ちゃんの出会い方はとても理想です。でも、たとえ劇的でなくても、過去を振り返ったときに、あのときあの場所で自分がこうしてなかったら、きっとあの出会いはなかったのかも…と振り返れるような出会いは、素敵だなと思います」
そう彼女が語るように、映画では小さな偶然が幾重にも重なり合いながら、さまざまな「出会い」が生まれていく。
「人と人との小さなつながりを大切にしたいと思える瞬間が、映画の中にはたくさんあります」
彼女が言うとおり、映画を見終わったあとは誰もがきっと、そんな気持ちを覚えるはず。
たべ みかこ
1989年1月25日、東京都生まれ。2002年に女優デビュー。映画をはじめ、ドラマや舞台、CMなど多方面で活躍を続ける。現在はNHKドラマ『これは経費で落ちません!』に主演として出演中。11月公演の舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』の出演も控える

『アイネクライネナハトムジーク』
全国公開中
原作:伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)
監督: 今泉力哉
音楽:斉藤和義
出演:三浦春馬/多部未華子/矢本悠馬/貫地谷しほり/原田泰造ほか
©2019 「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会