自分にとって大きな財産となる作品
昨年、『愛がなんだ』が大ヒットした今泉力哉監督の新作映画『his』が描くのは、同性愛者の青年たち。主演は、いま期待の俳優、宮沢氷魚。元恋人・渚(藤原季節)の影を引きずりながら、都会を離れひとり静かに暮らす青年、迅(しゅん)を演じる。
「もともと、LGBTQを題材にした映画に出演したいと思っていたんです。僕は幼稚園からインターナショナルスクールに通っていて、高校までは男子校。周りにはゲイやバイセクシャルの子もいてそれが当然だと思っていたけど、社会に出てみると平気でひどい差別があり、彼らには実に生きづらい社会だと気づきました。そんな現状に対し自分もなにか貢献したいとずっと考えていたので、この映画に出演できて本当に嬉しいです」
『his』はゲイの青年二人の恋愛映画であると同時に、彼らが直面する差別や家族制度など、現代社会の諸問題を誠実に描いた現代ドラマでもある。
「恋愛の美しさだけでなく、人間の醜さや愚かさをも含めて描いた、これまでの日本映画にない作品になったはず。この映画が公開されたからといって、今の日本の現状ががらりと変わるわけではないかもしれない。でもこの社会には、たしかに彼らのような人たちがいる。そういうことを考えるきっかけになる映画だと信じています」
今泉監督の演出は、どのようなものだったのか。
「どんなときも、まず俳優自身に考えさせてくれる方でした。絶対的な答えを持っていてその着地点に僕らを導いていくというより、その瞬間瞬間に生まれたものを大事にする監督なんだなと」
すでにドラマや舞台で活躍する彼だが、映画での主演はこれが初めてとなる。
「俳優として悩んだり行き詰まったときは、過去の作品が励みになるんです。『あの作品をやり遂げたんだから』と自分を勇気づける。そういう意味で、『his』に出演し完成させられたことは、今後の自分にとって本当に大きな財産になると思います」
みやざわ ひお
1994年生まれ。米サンフランシスコ出身。『MEN'S NON-NO』専属モデル。2017年、ドラマ「コウノドリ」で俳優デビュー。近作にドラマ「偽装不倫」、舞台「豊饒の海」「CITY」など。舞台「ピサロ」(3月13日~)への出演が控える

『his』
1月24日(金)全国順次公開。
監督:今泉力哉
企画・脚本:アサダアツシ
出演:宮沢氷魚/藤原季節/松本若菜/松本穂香