photo: Kaori Nishida styling: Kazumi Ono (Post Foundation) hair&make-up: Hiroyuki Omori (VANITES) text: Eri Watanabe (EATer)

市原隼人《プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」》

コラム

すべての想いが一つになって生まれた作品

  “給食マニア”の教師と生徒を描いたグルメコメディー『おいしい給食』。昨年放送されたテレビドラマが映画化され、この3月に公開される。主人公の甘利田幸男を演じるのは、俳優・市原隼人。これまで数多くの役柄を演じてきたが、食をテーマにしたコメディー作品への出演は初という。

 「はじめにストーリーを読んだときから、とても面白くて。だからこそ、どこまで自然な演技にするべきか、過度にコミカルなキャラクターになりすぎては浮いてしまうのではないか…などと考えてしまって、本当に難しい役でした」

 舞台は1984年の中学校。生徒に人気がない数学教師の甘利田は、同じ給食好きの一人の生徒との出会いから、給食や生徒と向き合いはじめる。

 給食愛を知られてはいけないと思いながらも、その愛がにじみ出てしまう。そこにこの作品の見どころがあるという。

 「普段人には見せない姿や、逡巡とか葛藤。そういうものが見えてしまうのが、甘利田なんです。本人は真面目なのに、どこか滑稽で、笑えて、愛くるしい。それがこの映画の醍醐味ですね」

 グルメ作品としては珍しい、「給食」がテーマという点についてはどうだろう。

 「給食は、日本の古き良き文化であり、すばらしいコミュニケーションの機会。そうしたテーマだけに、幅広い世代の人が分け隔てなく楽しめる面白い内容になっています」

 本作を通して、市原が感じたこととは。

 「ドラマや映画といった総合芸術の根源は、人と人とをつなげることにあると思っています。すべてのスタッフが同じ方向を向いて、想いが一つになって、素晴らしい作品が生まれる。映画業界そのものがそうであってほしいというのが、一人の俳優としての願いでもあります。唯一無二の世界観となったこの作品は、自分にとってこの先も残したいと思えるものになりました」

 

いちはら はやと

 1987年2月6日、神奈川県生まれ。2001年、映画『リリイ・シュシュのすべて』の主演としてデビュー。2003年の『偶然にも最悪な少年』で日本アカデミー賞新人賞受賞。主な作品にドラマ『ROOKIES』や大河ドラマ『おんな城主 直虎』、映画『3人の信長』などがある。近年は、映像監督・写真家としても活動するなど、マルチな才能を発揮し、活躍の場を広げている。


metro206_PRO-FILEoishikyushoku.jpg

©2020 「おいしい給食」製作委員会

『劇場版 おいしい給食 Final Battle』

2020年3月6日(金)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて全国公開。
配給:AMGエンタテインメント/イオンエンターテイメント
監督・脚本:綾部真弥 
出演:市原隼人/武田玲奈/佐藤大志/辻本達規/水野勝



コラム


この記事をシェアする

LATEST POSTS