音と対話するように、ジャズを作曲する
第62回グラミー賞で、自身が主宰するジャズ室内楽団「m_unit(エムユニット)」のアルバム『ダンサー・イン・ノーホエア』がノミネートされた音楽家・挾間美帆。ジャズの作編曲に加え、指揮、ときにはプロデュースも手がける彼女にとって、「ジャズ作曲」には一体どんな魅力があるのだろうか。
「多くの人が“曲を書くのが作曲家”と思っています。けれど、ジャズの演奏にはアドリブがあり、即興で生まれる部分も少なくありません。『ダンサー・イン・ノーホエア』に収録されている曲も、私が楽譜のすべてを書いているわけではありません。一部のパートから、偶然生まれた音があります。アドリブによって、音楽と対話している感覚を味わえる。それが私にとっての、ジャズ作曲の醍醐味ですね」
自ら音楽家を集め、バンドリーダーを務めるm_unitとはどのような存在なのだろう。
「誰に頼まれるわけでもなく、好きではじめたオーケストラで好きに演奏しているので、言ってしまえば、“自分の城”ですよね(笑)。いずれはたくさんの人に、『挾間がつくるとこういう音楽になるんだ』とか『m_unitの曲ってこんな音楽なんだ』と、認知していただけるようになりたいと思っています」
今年5月に開催される『東京ジャズプラス』では、m_unitの初出演が決まっている。2017年に指揮者として出演して以来3年ぶりとなるこのジャズフェスで、彼女たちがどんな演奏をみせてくれるのか、いまから楽しみだ。
「m_unitを結成して8年。この間に培ってきたバンドの音や空気感などを、この舞台で楽しみたいと思っています。ジャズって、とっつきにくいとか、年配の方が聞くといったイメージもあると思います。でも、どう聞くのが正解という定義は、まったくありません。来ていただければ、きっと新感覚の“音体験”ができると思います」
日本を代表するジャズの祭典で、音と対話する感覚を体感してみてはいかがだろうか。
はざま みほ
1986年11月13日生まれ。2012年、アルバム『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』でジャズ作曲家として世界デビューを果たす。現在はNYに拠点を置き、作編曲家、指揮者、プロデューサーとして、幅広く活動をしている。3rdアルバム『ダンサー・イン・ノーホエア』が2020年グラミー賞で、最優秀大規模ジャズ・アンサンブルアルバム賞にノミネートされた。

『TOKYO JAZZ +plus』
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。詳細はこちらをご覧ください。
5月22日(金)〜24日(日) 渋谷・NHKホールほかで開催
出演:挾間美帆 m_unit、ハービー・ハンコック、小曽根真 featuring NoName Horses、上原ひろみ、平原綾香ほか
お問い合わせ:03-5777- 8600(ハローダイヤル)
https://www.tokyo-jazz.com