もし、詩を注ぐ器があったなら、それはどんな形で、どんな色をしているのだろう? この問いかけに5人の陶芸家が答えた、詩とうつわの企画展「もしも詩が水だったなら」が4月19日(木)まで、GINZA SIX 6階の銀座 蔦屋書店で開催されています。
今回、陶芸家たちがテーマにしたのは、気鋭の詩人 菅原敏氏の“超訳”世界恋愛詩集「かのひと」に収録されている一編の詩。この詩集には、ゲーテやシェイクスピアから、小野小町まで、恋を題材にした古典作品をモチーフに、菅原氏が独自の感性で現代詩に昇華させた35編が入っています。
最近、一段とコンセプチュアルな表現に挑んでいる陶芸家 池田優子氏が選んだのは、エミリー・ディキンソンの「愛される1時間」です。
池田氏が今回、こだわったのは釉薬(ゆうやく)。甘く官能的な空気をまとった器は、全ての理性を投げ打ってしまう“恍惚の一瞬”を捉えたかのようで、ディキンソンへの深い敬愛も感じられます。

もともと理工学部を志していたという竹村良訓氏の詩は、ライナー・マリア・リルケの「僕らはみんな落ちていく」。竹村氏は、この詩の「落ちる」というキーワードに着目し、“放物線”の弧を内型とし、それをロクロで回転させることで、「放物面」を内包する器を生み出しました。
数学的なアプローチから生まれた作品は、美術と数学という一見相反するものが、実は表裏一体だということを、気づかせてくれます。

かわいらしくもどこか儚さを感じさせる作品で知られる今井律子氏は、小野小町の「そうね、私は年をとった」。恋する人を思ってひとり眠る夜からイメージを発展させ、彼女独自の世界観に落とし込んでいます。内に秘めた静かで繊細な感情を、一筆一筆、細やかに描いた渾身の作品です。

このほか、鈴木環氏×フリードリヒ・ニーチェ「さよなら、たまねぎ」、結城彩氏×李白「月下独酌」のコラボ作品もあります。
この企画展をプロデュースしたのは、器やアクセサリー、インテリアグッズなどを中心に、アートピースのようなアイテムを、国やジャンルを問わず取り扱っているオンラインセレクトショップ「IBE」。今回は、IBEでお馴染みの人気陶芸家たちが、それぞれの詩を選んだ背景や、イメージへと転換する際の着眼点、制作プロセスにまで、迫っています。
ことば(言語)から造形(視覚)への転換はいかにして行われるのか? 会場には、詩集「かのひと」も置いてあるので、詩を読み、器を眺め、手に取って、作家それぞれの〝転換〟を感じてみてはいかがでしょうか。

もしも詩が水だったなら
開催期間:4月19日(木)まで
会場:銀座 蔦屋書店 文具フロア(中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6階)
※IBEでも、コラボ作品を購入できます(展示作品と異なるアイテムもあります)