Text=TAKAMASA KUJIRAI Photography=SHOTARO EBARA

利用している取り組み「副業制度」[働くも暮らすも〝心地よい〟ってなんだろう?未来をひらくテーブルトーク]


 働き方が多様化する今、多くの企業では、個人のさまざまな事情を尊重し、誰もが自分らしく働ける環境づくりを重視している。副業制度を利用しているのは、オカモトヤの園田美公さん。日々の暮らしにどんな変化があったのか。コーヒーブレイク中に話を聞いた。


冗談のひと言が副業に
そこで見つけた第二の故郷

 文具店や事務用家具、オフィスデザインなど扱うオカモトヤ。園田さんは、企画マーケティングの部署でSDGs関連のイベントを担当している。副業のきっかけは、業務上での出会いだった。

 「もともと本業の一環として、北海道中富良野町の小学校で、廃棄文房具を再利用するワークショップや、商品開発などの総合学習を行なっていました」

 中富良野町といえば“ラベンダーの街”。しかし、惹かれたのは自然ではなく、豊かな教育だった。

 「訪れたのは数回で、宿泊も旭川。街のことは知りませんでした(笑)。子どもの地域体験やキャリア教育に力を入れると聞いて、つい『働きたいです!』って言っちゃったんです」

 半分冗談、半分本気のひと言だったが、先方は副業を歓迎。とんとん拍子に決まった。今では有給休暇を使って月に2、3日は現地へ赴き、さらに仕事終わりに月20時間以上、副業として携わっている。

 「本当にまさか、でした。社内でも副業をしている人はいるし、いつか実家の家業を手伝うかもと興味はありました。実際副業をしてみて、世界が一変しました。本業でさまざまな仕事に携わっているけれど、中富良野では思わぬ仕事が舞い込むんです」

 街での仕事は、新しい教育機関開校に向けたカリキュラムや授業づくり。将来の人口増を目指して、ゆくゆくは子どもたち自身で街の魅力を作り出していくことが目標だが…。

 「専門外の相談も多くて、ラーメン店の事業継承にまで携わるとは思いませんでした(笑)。でも、仕事の幅が広がって、すごく楽しいんです」

 生き方にも大きな影響があった。

 「出身は九州で、中富良野は人と人との密度や時間の流れが似てる。みんな、ゆとりがある」。中富良野を訪ねるのが2カ月ちかく空いた時、自分がここでリフレッシュしている、この街が好きだと実感したという。

 「中富良野は第二の故郷。収入のことより、日常が楽しくなった」と笑う園田さん。副業という新たな環境が、豊かな人生のきっかけになっていた。


園田美公(株式会社オカモトヤ勤務)
アパレル業界から転職し、2017年に入社。当初は店舗運営だったが、4年前から企画マーケティングを担当。2022年には、中小企業の女性の働き方をサポートする「Fellne(フェルネ)」を立ち上げる。


利用している取り組み「副業制度」

 給与面やキャリア面で、自己成長や経済的な豊かさを求める人をサポートするため、申請制ではあるが、オカモトヤでは社員の副業を認めている。

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副業を始めて、自分の世界が広がった感覚です。
最近、いつか二拠点生活を、と夫と話しています。

 中富良野町を訪れる園田さん。子どもたちの活力も癒やしの源に。また、人と人との距離が近いことも、大きな魅力のひとつ。農業体験をさせてもらったり、夕飯に誘われて近所の人の家にお邪魔することもあるのだとか。

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私のリラックスできる場所

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TOKYO NODE CAFE
住:東京都港区虎ノ門2-6-2
虎 ノ門ヒルズステーションタワー8F
営:11:00〜23:00(ランチL.O.14:00、カフェ17:00、ディナー22:00)
休:なし
@tokyonodecafe

園田さんが働く、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内にあるカフェ。「東京タワーが見える席で、ランチやお茶をしながら本を読む時間が好き」と園田さん。とくにお気に入りはアイスカフェラテ(750円)。今日はテリーヌショコラ(900円)も一緒に。





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