文・AYANA 写真・中川正子

大人メイクの醍醐味(メイクアップの話)[連載エッセイ ゆらめくひかり]


 最近、仕事で20代スタッフの肌をまじまじと見る機会があった。パーンと張っていてフレッシュ。すべてのパーツがくっきりと気持ちよく重力に逆らい、たっぷりのラメもぷるぷるのグロスもバチっと決まっていてまぶしかった。

 改めて自分の顔に思いを馳せてみると、30代に入った頃から、重力に対して肌がどんどん素直になっていったな、と思う。釣り上がった目はやさしくなり、肉が落ちることでまぶたの彫りが深くなり、唇の輪郭やフェイスラインはふわっと曖昧に。ハリがやわらいだ肌上では、ラメもうまく光を反射しにくくなった。

 一瞬落ち込みたくなるが、加齢による「いいこと」もちゃんとある。なんといっても、ときを重ねてもたらされる「自分らしさ」が宿っていること。しぐさ、佇まい、雰囲気、もっと言えば話し方や哲学など、メイクだけではつくり上げることが難しい魅力たち。それが表情となってあらわれるのが、大人なんじゃないか。これは、経験値がものをいう魅力である。

 多くのメイクアップアーティストが、個性を隠すのではなく、引き出す化粧がいいと言う。つまり、大人の肌こそ厚塗り厳禁なのだと思う。若いときはいくら重ねても、その「変身」に可愛げがあったが、大人になると自分の個性が際立っていくから、そこを無視せずチャームにしていくほうが、洒落感につながる。もとからこの顔ですが? くらいのメイク強度がしっくりくるのが、大人なのだ。

 そのために必要なのは「抜く」テクニック。下地のあと、部分的にコンシーラーを使うだけでベースを仕上げたり、単色のアイシャドウだけでアイメイクを終了させたり。あるいは、マスカラは抜くけれどアイラインは過剰にするなど、メリハリを遊んでみるのも楽しい。目周りのくすみ感や、肉が落ちて生まれた立体感も活かしていく。メイクは洗えば落ちてしまうものだから、大人ならではのバランスを貪欲に探ってみるといい。嘆いている暇なんて、ないのかもしれない。

 丹念に手入れされた肌があるなら、隠すなんて言語道断だし、ちょっとしたシミやくすみも、一点の曇りなきまでにカバーしようとしないで、薄膜の光でカモフラージュする程度で構わない。なにより堂々と笑顔でいることが、影を吹き飛ばして見えなくしてしまう。知性や余裕のあるきらめきを、内側からどんどん出していきたい。

 老いのサインは容赦無く迫ってくる。静止画で自分の顔を見ると、時の流れに驚くことは、確かにある。でも、加齢は止められないし、誰にでも平等に起こる事象だ。ならばその流れを利用して、上手に手を抜いてみる。若いほうがいいという思い込みを手放すことで生まれる魅力的な表情は、きっと無数にある。


アヤナ
ビューティライター。化粧品メーカーの企画開発職を経て、35歳でライターとして独立する。培った専門知識にファッションやアート、ウェルネス視点を加えた独自の美容観でビューティを分析し、さまざまなメディアで執筆。近著に『仕事美辞』(2024年双葉社)。「エモ文」文章講座も開講中。先日、スリランカでアーユルヴェーダの良さを再確認!

@tw0lipswithfang


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