残すところ今年も3日となりました。大掃除におせちの買い出しとあわただしく新年の準備をしている人も多いと思います。せわしない年末ですが、来る新年はゆったりと落ち着いた心持ちで迎えたいものですね。そんなときに華やぎを添え、美しく彩ってくれるのが職人さんがひとつひとつ手作りした和菓子です。
そこで、新宿高島屋の女性和菓子バイヤーの山本友里さんにお薦めの迎春の和菓子を選んでもらいました。〝メトロポリターナ世代〟の山本さんは、入社6年目で、店舗担当の和菓子バイヤーになって3年。「若いお客さまに和菓子を食べたいなと思っていただけるように、和菓子の入り口にお客さまを誘導するのが私の仕事と思っています。まず手に取っていただけるかどうか最初が肝心なので、見た目のかわいいものを選んでいます」と話していました。
まず、日本の四季折々の表情を反映した美しい上生菓子からご紹介しましょう。
薄いピンクの生菓子は、菓銘を「祝梅」(324円・税込み)といいます。巌邑堂(浜松市)五代目の内田弘守さんが作りました。全体を梅の形にかたどって、真ん中のおしべの部分に小さい梅の花をあしらってポイントにしています。内田さんはとにかく美しい生菓子作りに定評があります。

巌邑堂の「祝梅」(324円・税込み)
黄色が鮮やかな生菓子は、引網香月堂(富山県高岡市)四代目、引網康博さんが作った「初東風」(はつこち/324円・税込み)です。その年に初めて吹く東風を表現したそうです。「穏やかな一年になることを祈って調製しました」と話します。

引網香月堂の「初東風」(324円・税込み)
「乃し梅本舗 佐藤屋」(山形市)の八代目、佐藤慎太郎さんのモチーフはニワトリです。菓銘は「鶏鳴」(けいめい/324円・税込み)。「鶏鳴暁を告ぐ」から名付けたそうです。赤で鶏のトサカを、金粉を添えて鶏の鳴き声を表現したそうです。佐藤さんは「閉塞した時代に明るい兆しが現れますようにという祈りにも似た思いを込めました」といいます。

乃し梅本舗 佐藤屋の「鶏鳴」(324円・税込み)
そして、「鶴亀」(324円・税込み)は「しろ平老舗」(滋賀県愛荘町)五代目の岩佐昇さんの生菓子です。ヤマイモ入りの自家製ねりきりでお正月に欠かせない鶴亀を表現しました。岩佐さんは「全国和菓子協会」から誰もが認める優れた和菓子職人であり、創作的な手づくり和菓子ができる技術があることを証明する「優秀和菓子職」の認定を受けています。「一つ一つ丁寧に調整しました。見た目はもちろん、ねりきりの味にもこだわった逸品です」と話します。

しろ平老舗の「鶴亀」(324円・税込み)
生菓子の最後には、正月には欠かせない「花びら餅」をご紹介します。固いものを食べて長寿を願うという平安時代の新年の宮中行事「歯固めの儀」がもとになっていて、それが裏千家の初釜の菓子として定着するようになってから、京都だけではなく、全国の和菓子屋さんで迎春の生菓子として作られるようになったそうです。
こちらは、松江の和菓子老舗「彩雲堂」の花びら餅(5個入り1458円・税込み)です。六代目の山口周平さんは「白味噌は本場京都から取り寄せていますが、一番のこだわりは求肥です。1日1万個を製造するのですが、冷凍はいっさいせずにその日に練った求肥で作ります。このクオリティで1万という数を作れるのはおそらく私どもだけでしょう」と胸を張ります。

彩雲堂の「花びら餅」(5個入り1458円・税込み) (写真・彩雲堂提供)
続いて紹介するのは赤いパッケージがかわいい石川県白山市の「雅風堂」の「福むすび」(864円・税込み)です。三代目の安田卓司さんによると、コンペイトーや干支をかたどった干菓子が入った紅白と抹茶色の最中を割って、中のお菓子を食べる正月限定の縁起菓子だそうです。「着物の帯留めをイメージし、福を結ぶという気持ちを込めてかたどった最中です」と話します。
金沢にはもともと「福徳せんべい」という正月のお菓子があり、福俵や打ち出の小づち、砂金袋などをかたどった最中の中にコンペイトーや干菓子を入れて正月の縁起物とする文化が根付いていたそうです。福結びもそこからヒントを得た雅風堂のオリジナル菓子です。

雅風堂の「福むすび」(864円・税込み)
あめも新春に彩りを添えてくれます。「あめ細工 吉原」(東京都・千駄木)の「酉:とり」(648円・税込み)はあめで作られたニワトリです。唇やトサカなども繊細に描かれていて食べるのがもったいないくらいです。あめは1本1本職人による昔ながらの手作りだそうです。

あめ細工 吉原の「酉:とり」(648円・税込み)
「お豆サイズの小さな手ぬぐい」を意味するブランド「まめぐい」からは「まめぐいカレンダー2017set」と「まめぐいAnimal Tori set冬」(いずれも1080円・税込み)が。手拭いは明治時代から続く染物技法で、職人さんが一枚一枚手染めで作っているそうです。中にはいずれも十二支をかたどったかわいいあめが入っています。干支によって味が異なり、たとえば酉はイチゴ味、戌はライチ味となっています。

まめぐいからは「まめぐいカレンダー2017set」と「まめぐいAnimal Tori set冬」(いずれも1080円・税込み)
最後にご紹介するのは、絵馬型の箱に華やかなお菓子を詰めた「宗家源吉兆庵」の「絵馬招福来」(1296円・税込み)です。黒豆かのこをとじ込めた白羊羹の「干支 酉」と、黄味羽二重あんできざみ栗入りのあんを包み、上部にトリのデザインを施した「干支菓子 酉」がぞれぞれ3個ずつ入っています。絵馬は取り外して飾れるのが楽しいですね。

宗家源吉兆庵の「絵馬招福来」(1296円・税込み)
それぞれの和菓子の色や形状、香りなどのほか、その伝統や菓銘の持つ意味などを楽しみながら、和菓子とともに新しい年を迎えてはいかがでしょうか。
いずれのお菓子も売り切れる場合があります。
◆新宿高島屋 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24−2、午前10時~午後8時 ☎03・5361・1111
(写真はいずれも田中幸美)