川崎市麻生区にある洋菓子店「パティスリー エチエンヌ」の「スイートアートデザイナー」藤本美弥さんが制作したチョコレートのオスカル像=東京都世田谷区の玉川タカシマヤ (写真・田中幸美)

​《二子玉川》チョコの等身大「オスカル」像がお目見え 玉川タカシマヤ​


 「エエーッ、すごい。何でできているのかしら~」。通りかかった女性たちがスマホで写真を撮り始めました。
 目の前にいるのは、漫画家、池田理代子さんの不朽の名作「ベルサイユのばら」(ベルばら)の人気キャラクター「オスカル」。黄金の髪をなびかせながら、ひざまずく姿に歓声が上がります。オスカルは、玉川タカシマヤ(東京・二子玉川)で開催中のバレンタインのチョコレートイベント「アムール・デュ・ショコラ」の会場にたたずんでいます。

全身チョコレートでできたオスカル像は甘い香りがします=東京都世田谷区の玉川タカシマヤ


 このオスカル像は、なんと全身チョコレートでできたアート作品。川崎市麻生区にある洋菓子店「パティスリー エチエンヌ」の「スイートアートデザイナー」、藤本美弥さんが作りました。美弥さんは、恐竜やグランドピアノ、サンタクロースなどさまざまなものをチョコレートで本物そっくりに作ることで有名です。
 今年、全国11店舗の高島屋で展開するイベント「アムール・デュ・ショコラ」はベルばらとのコラボレーションがメーンとなっていて、チョコレートのオスカル像もコラボの一環です。

さまざまなチョコレートを用いてオスカル像を制作するスイートアートデザイナーの藤本美弥さん=川崎市麻生区の「パティスリー エチエンヌ」で


 オスカル像は、身長約180センチ、座像の高さは約125センチで右膝をつけてひざまずくりりしい姿です。トレードマークの金髪、青い目も麗しく、フランス衛兵隊部隊長の青い軍服をまとっています。それだけでもファンなら垂涎の的ですね。

オスカル像は立位だと運搬が困難なため、ひざまづく形で制作されました


 チョコのオスカル像の制作工程について美弥さんに伺いました。まず通常の板チョコと同じ素材の「スイートチョコレート」を加工しやすいように少しだけ溶かして、それを下地としてぼてぼてと肉付けしていきます。それを削ったりさらにまた肉付けしたりしながら形を整え、そこに「プラスチックチョコレート」でカバリングしていきます。プラスチックチョコレートは、花飾りや人形などを作るときに使う粘土のようなチョコで、造形に適しているそうです。軍服は前身頃、後ろ身頃、袖というようにパーツごとに貼り付け、肩章と軍服の模様はガナッシュチョコレートを絞りました。髪の毛もプラスチックチョコレートでできています。
 目は描いていて、白目の部分は白いチョコレートを貼り、まつげは細い棒状のあめを貼り付けています。オスカル像は約150キロのチョコレートを使って10日をかけて完成させました。

原画を見ながら髪の毛を形成するためのチョコレートを練る美弥さん


オスカル像のもととなった原画 ©池田理代子プロダクション


 「パティスリー エチエンヌ」は、オーナーパティシエの藤本智美さんと、スイートアートデザイナーを務める藤本美弥さん夫妻が営む洋菓子店です。2人とも洋菓子の世界大会や国際製菓コンクールで優勝するなど世界的に活躍する有名パティシエです。小さいチョコレート細工を作るパティシエはいますが、チョコレートを使って等身大の人形や大きな恐竜などのアート作品を作ることができるのは世界でただ一人、美弥さんだけです。
 美弥さんはベルばらの連載が始まった1972年生まれ。少女時代にはベルばらを読んでいたそうです。今回のオスカル像は美弥さんの発案だそう。エチエンヌに対して高島屋からベルばらをイメージした限定のバレンタインチョコの出店依頼があり、「それならチョコでオスカルを作りましょうよ」と申し出たことがきっかけで実現しました。「女子はみんなオスカルが好きですよね」

「パティスリー エチエンヌ」の「ベルサイユのばらセレクション」は「アムール・デュ・ショコラ」の会場で手に入りますが、数量に限りがあります  2852円(税込み・8個入り)


「パティスリー エチエンヌ」の「ベルサイユのばらセレクション」にはこのようなポストカードがついています ©池田理代子プロダクション


 チョコレートによる造形を始めたのは特にきっかけがあったわけではありません。以前勤務していた東京・六本木のラグジュアリーホテル「グランドハイアット東京」で試しにチョコレートでワニとインパラを作ってショーケースに並べたところ、アッという間に売れてしまいました。次に座ったキリンを作り、さらに息子さんの恐竜図鑑を引っ張り出して恐竜を作り始めたところ、ものすごい人気で飛ぶように売れたそうです。
 ホテルにはVIP客の利用も多く、そうした方々へのプレゼントとして、ホテルのドイツ人総料理長から「美弥さんこんなの、できますか?」と依頼を受けるようになりました。それに応えるうちにどんどん依頼がエスカレート。美弥さんも「驚かせたい。こんなの見たことないと言わせたい」と励み、超絶テクニックを自ら習得して恐竜など大きなものまでも作るようになったといいます。

休日返上でチョコレートのオスカル像作りに励む美弥さん


 今は「300キロの級の巨大な恐竜を作るのが夢」といいます。さらに「子供たちが何人も入って遊べるような『お菓子の家』も作ってみたいですね」とも。
 世界にただ一人の職人技の〝甘~いオスカル〟にあなたも会いに行きませんか? 

 (写真はすべて田中幸美)


◆玉川タカシマヤ(東京都世田谷区玉川3丁目17-1)の「アムール・デュ・ショコラ」は14日(火)まで。問い合わせは☎03・3709・3111。

◆パティスリー エチエンヌの公式サイトは、http://www.etienne.jp/


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