歌舞伎「勧進帳」で弁慶が身にまとう装束の生地で作った個性的な格子柄のトートバッグや、京染の伝統技術「墨流し染め」を牛皮に染色した財布など…。東京・日本橋の三越日本橋本店で、京都の伝統を生かしつつ、今の暮らしにもフィットするアイテムを紹介する企画「京都ものづくり しつらえる、 自分の京都を。」が14日まで行われています。

「京都ものづくり しつらえる 自分の京都を。」の展示販売会場には9事業者の60アイテムが並びます=東京・日本橋の三越日本橋店
1000年以上都として栄えた京都には、全国の優れた技術や感性、そして優れた人材が結集し、常に伝統を踏襲しながら新しい文化へと〝更新〟させてきました。そうした〝更新〟は今も続いており、いつ行っても京都には新たな発見があるといいます。
そこで、「京都ものづくり」では京都で活躍する伝統工芸の若手職人が三越伊勢丹グループのバイヤーと強力なタッグを組んで新に開発した商品をそろえています。展示販売するのは、9事業者による60アイテム。

「幸彩苑」種田の京鹿の子絞りドレスは、絹100%

伝統工芸品のセレクトショップ「おつかいもの本舗」も出店しています
歌舞伎や文楽など伝統芸能の舞台衣装を作っている「宇野商店」は「勧進帳」で弁慶が着る衣装の生地を使ってトートバッグを作りました。独特のしま模様を織るのにかなりの時間と技術を要し、そうした技術を持つ職人も少ないそうです。舞台でしか見る機会のない本物の生地を使い、絹100%の輝きも素晴らしいバッグに仕上がりました。このバッグをきっかけに舞台衣装や舞台へと興味が広がっていったらいいですね。

歌舞伎の有名な演目「勧進帳」で弁慶が着る衣装の生地を使ってできた個性的なトートバッグ
「富宏染工」は、京手描き友禅を駆使した扇子や竹かごバッグ、ワンピースなどを展示販売しています。手描き友禅を生活に身近なものとして感じてもらおうと数年前から小物などを作ってきたそう。
友禅染は柄の上に乗せたノリが境線になって隣り合う色が混ざることがないという独特の技法です。今では9割がインクジェットによる印刷で、職人による手描き友禅はたった1割だそう。手描きによる色合いの美しさと貴重さに目をつけたバイヤーが着物ではない新しい形で伝えたいと小物に取り組んだそうです。

京手描き友禅の「富宏染工」は、扇子や竹かごバッグを製作し、レセプションで同社の藤井友子さんがお披露目しました

京手描き友禅の「富宏染工」のさまざまな扇子
次に紹介するのは和蝋燭(ろうそく)です。全国にろうそくを作る職人は現在、約10人しかいません。材料となるのは櫨(はぜ)の実。その櫨が枯渇する危機に瀕しているそうです。櫨はお相撲さんの鬢漬け油や歌舞伎役者の化粧下地などに使われ、他にはあまり用途がないのが現実だそう。
そんな中、東京で本物の和蝋燭がないことに気付いた「中村ローソク」は、身近な草花を手描きして仕上げる絵蝋燭をギフトやインテリアとして提唱しています。

和蝋燭に絵付けをする中村ローソクの絵師の田中伶奈さんは、この仕事を始めてもうすぐ5年になります

「遊禅庵」(ゆうぜんあん)は、京染の伝統技術「墨流し染め」の第一人者、薗部正典さんと牛皮への染色方法を開発しました。墨流し染め」とは、特大の水槽に染料で流し模様を表現し、その上に革を4、5人がかりで漬け、転写する技法です。
今回、友禅柄を取り入れたファッショナブルなレザーポーチや財布、バッグなどの商品を生み出したそうです。

「墨流し染め」の柄の偶然性を大切にして仕上げたバッグ

ものづくりの国、日本の中でも伝統と歴史に裏打ちされ、常に最高のものを集めてきた京都。京都のものづくりの精神に触れることのできる企画でもあります。
◆「京都ものづくり しつらえる 自分の京都を。」は、東京都中央区日本橋室町1-4-1の「三越日本橋本店」本館1階中央ホールで14日(火)まで。午前10時30分~午後7時30分。問い合わせは☎03・3241・3311。
三越日本橋本店のホームページは、http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/inde...