決め手となる洞察力は、日々の観察から
「もともとはすごい人見知りだったんです」と話しはじめたのは、ベンドラメ礼生選手。チーム全体を見ながらゲームを進める、チームの司令塔だ。ブラジル人の父と日本人の母を持ち、福岡で生まれ育った彼は、寮生活を経て身についたものがあると語る。
「中学、高校、大学と日本各地を転々としてきて、いろいろな環境の中でプレーし、人と出会うことで、人見知りすることもなくなっていきました。自分以外の人が何を考えているのか、何を見ているのかをよく考えるようになりましたね」
変わり続ける環境の中で身についたという洞察力。もちろんそれは、ゲームの中にも役立っている。
「コート外でのチームメイトとのコミュニケーションは、プレーにすごく活きています。言葉もかわさずにできるプレーは、ふだん一緒にいる時間から生まれると思います。意識しているというよりは、シンプルに人といるのが好きなんです」
けれど、意外にオフの時間は、一人で過ごすことも多いですね、と人懐っこい笑顔を覗かせながら話すベンドラメ選手。
「スローな時間が好きなので、休みの日はずっと家にいます。漫画を読んだり、映画を見たり……少年漫画のアニメも見ます」
オン・オフははっきりと分けるタイプ、かと思いきや、ふと夜中に思い立って過去の試合を見返したり、改善点を探したりと、試合のことは終始忘れない。
「これからの試合では、各々の役割を果たしながら、個人の得意なプレーもできるチームを目指していきたいです」
人好きならではの“よく見て、想像して動く” プレースタイルに、今後も注目したい。