「横手のかまくら」(秋田)や「蔵王樹氷まつり」(山形)など、2月の東北は雪を背景にさまざまな祭りや行事が行われます。長く厳しい冬ですが、ひときわほっこり温かな気持ちになりますね。
そんな中17日、青森県八戸市で馬の頭をかたどった色鮮やかな烏帽子(えぼし)をかぶった踊り手が力強く舞う「八戸えんぶり」が始まりました。えんぶりは田の神様をゆさぶり起こして豊作を祈る祭りで、約800年前に始まったとされ、1979年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

長者山新羅神社の奉納えんぶりを収めてから、神社に集まった人たちの前で舞いを披露=青森県八戸市
午前7時、「えんぶり組」と呼ばれる地区ごとに結成された32組の舞い手のグループが市中心部に近い長者山新羅神社の拝殿前でそれぞれ舞を奉納して祭りはスタートしました。
「えんぶり」は、土をならし収穫物を集めるT字形の木製農機具「えぶり」に由来するといわれています。頭を大きく振ったり、手に持った棒で地面をつつくなどして、田植えや種まきなどの様子を表現した踊りを披露しました。

次々に神社に参拝して、「奉納えんぶり」を収めるえんぶり組の人たち
舞いを奉納した後には各えんぶり組は市中心街に場所を移し、いっせいに舞いを披露しました。えんぶりは多くの子供たちも参加して、さまざまな舞を披露します。子供たちがかわいらしいしぐさで踊ると、集まった沿道の観客からは大きな拍手と歓声が上がっていました。

かわいらしい子供の舞いには歓声が上がります


えんぶり組には、お囃子を奏でる人たちが必ずいます
この日は、全国的に暖かく関東地方で春一番が吹いて、4月下旬並みの気温になりました。八戸も例外ではなく、朝の最低気温は9・1度と5月中旬並み。すでに春が訪れたような暖かさで、「雪のないえんぶりは珍しい」と地元の人が口にするほどでした。
えんぶりは、20日まで市内各所で続きます。近くにお出かけの際にはぜひ、足を伸ばしてみてください。 (写真はすべて田中幸美)
八戸えんぶりの詳細は、https://hachinohe-kanko.com/10stories/hachinohe-en...