秋の紅葉時期に限定で公開される正伝永源院の庭=京都市東山区 (写真・田中幸美)

​​【京都紅葉めぐり2017】⑤建仁寺塔頭 正伝永源院

おでかけ

 北の山から降りてきた紅葉前線が街中へと至り、京都は赤や黄色で染めあげられています。
 京都には普段は観光的な拝観をいっさい受け付けていないのに、この時期だけはモミジを楽しんでもらおうと期間限定で公開している寺が少なくありません。
 建仁寺の塔頭、正伝永源院(京都市中京区)もそうしたお寺の1つです。

庭を臨む廊下には椅子が用意されていて、座って紅葉を愛でることができます


 正伝永源院はずっと非公開でしたが2013年春、陶芸家でもある細川護煕元首相が描いた24面の襖絵が奉納されたのを機に、春のキリシマツツジと秋の紅葉に限って公開するようになったそうです。

細川護煕元首相の描いた襖絵


 池を中心にした回遊式の庭園の紅葉は見頃を迎え、約10本のイロハカエデなどが赤く色づき、日の光を浴びて輝いていました。
 真神啓仁(けいにん)副住職によると、9、10月の台風でエノキの枝は折れ、モミジの葉もかなり落ちてしまったそうです。「例年は11月下旬に見頃を迎えますが、今年は紅葉が早いですね」

庭は池を中心に回遊できる「池泉回遊式庭園」で、池の周りにモミジが植えられています 


 正伝永源院は、鎌倉年間に建立された「正伝院」と南北朝時代の14世紀半ばに創建された「永源庵」の2つの寺が、明治の廃仏毀釈政策を機に統合されてできたそうです。



 細川家のぼだい寺でもあった永源庵は当時、住職がいなかったため廃寺となりましたが、建仁寺の真北にあったことから本堂などの建物の取り壊しは免れました。
 一方、「正伝院」は、戦国時代に荒廃しましたが、織田信長の実弟で大名茶人としても名高い織田有楽斎(うらくさい)が再興し、そのときに隠居所として建てたお茶室、国宝「如庵」が有名です。本物は現在、愛知県犬山市の有楽苑にありますが、忠実に再現した複製が庭園にあり見学することがでます。

織田有楽斎ゆかりの「如庵」を忠実に再現した茶室があります


織田有楽斎の墓もあります


 明治期に永源庵のあった場所に正伝院が移ってきて、寺名も「正伝院」と変えられましたが、細川家が「永源」の名が残すことを希望して、「正伝永源院」となったそうです。

祇園の花見小路から西に入ったところにあるこちらの寺は、通りの喧噪とはうってかわって静寂が流れます


 多くの観光客でごったがえす祇園の花見小路から西に入った場所にありますが、ここは静寂に包まれています。庭を見渡せる長い廊下に座って日ごろのストレスを癒やし、自分を見つめ直してみてはいかがでしょうか。至福の時間が待っています。

◆正伝永源院は、京都市東山区花見小路四条下ル。秋の庭園特別公開は、12月5日(火)まで、午前10時~午後5時(午後4時30分に受付終了)。大人500円、中高生300円、小学生以下無料。


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