暑い日が続きますね。梅雨明けしたら夏本番。いよいよ夏祭りのシーズンです。夏祭りといえば、なんといっても京都の夏の風物詩「祇園祭」です。東京の神田祭、大阪の天神祭とともに日本三大祭の1つに数えられます。

前祭の山鉾巡行は祇園祭のハイライトです=2016年7月17日、京都市下京区 (写真報道局・志儀駒貴撮影)
7月に入ると京都の街は、四条通りのアーケードに赤と白の提灯が飾られ、夕方に四条烏丸界隈を歩くとあちこちから「コンチキチン」というお囃子の音色が聞こえてきて、祭りムードを盛り上げます。

四条通りのアーケードには赤と白の提灯が飾られ、祭りムードを盛り上げます (写真・田中幸美)
みなさんは夜店が出てたくさんの人でにぎわう「宵山」(よいやま)と呼ばれる前夜祭と、17日と24日の2回にわたって行なわれる絢爛豪華な「山鉾巡行」(やまほこじゅんこう)だけが祇園祭だと思ってはいませんか?もっと言うと、17日の山鉾巡行だけしか知らないという方も多いのではないでしょうか。
実は祇園祭は1カ月にわたって、毎日のようにさまざまな行事や祭儀が行なわれます。
《祇園祭のスケジュール》
■1日 吉符入
神事始めの意味で各山鉾町において、町内関係者が本年の衹園祭に関する諸事打合せをする。

長刀鉾町の稚児たちが、八坂神社でお祓いを受けて、社殿を3周して祭りの無事を祈願します。この神事は町の役員たちも含めると千度に価することから「お千度」と呼ばれます=7月1日、京都市東山区の八坂神社 (写真報道局・寺口純平撮影)
■2日 くじ取り式
山鉾巡行の順番をくじによってきめる式。

「くじ取り式」は京都市役所の市議会の議場で行なわれます=2日、京都市 (写真報道局・寺口純平撮影)
■10日 神輿洗
午後8時頃、神輿3基のうち中御座の神輿をかつぎだし、四条大橋まで運び、鴨川の水で洗い清める。
■10日~14日 前祭の山鉾建て
前祭巡行の山鉾が収蔵庫から出されて組み建てられる。鉾の組立ては、釘をいっさい使わない伝統の手法で行い、約3日間を要する。

くぎなどをいっさい使わない伝統的な技法で鉾は組み立てられます。これは鶏鉾=11日、京都市下京区 (写真・田中幸美)

鉾の屋根の装飾を組み立てる人たち=鶏鉾 (写真・田中幸美)
■13日 長刀鉾稚児社参
先頭を行く長刀鉾に乗る稚児が、午前11時に八坂神社へ参って祭りの安全を祈願する。その際に稚児は「五位」の位をもらう。

改修中の京都南座の前を通って、八坂神社へと向かう長刀鉾の稚児。白い馬に騎乗しています=13日、京都市東山区 (写真・田中幸美)

長刀鉾の稚児社参には、2人の禿も同行します (写真・田中幸美)

八坂神社の南楼門から入る稚児の一行=京都市東山区 (写真・田中幸美)
■14日~16日 前祭宵山
各山鉾には、灯がともされ、衹園囃子がにぎやかに奏でられ、祭り気分を盛り上げる。各町会所では、護符や粽などを授与する。

宵山では提灯が点り、コンチキチンの祇園囃子を奏でる中、歩行者天国には屋台が並び、大勢の人でにぎわいます=2016年7月14日 (写真・田中幸美)

宵山では、鉾や山に登ることができます=2016年7月14日、長刀鉾 (写真・田中幸美)
■17日 前祭 山鉾巡行
午前9時、23基の山鉾が四条烏丸出発。ルートは、四条烏丸→四条河原町(9時40分ごろ)→河原町御池(10時20分ころ)→新町御池(11時20分ころ)

台風の中、行なわれた巡行。「小雨決行、大雨強行」という言葉があるように、台風や悪天候で中心になったことはありません=2015年7月17日 (写真・田中幸美)

鉾を90度回転させる「辻回し」は巡行の最大の見所です=2016年7月17日、四条河原町 (写真・田中幸美)

鉾は巡行の指揮者の役目を果たす「音頭取り」と呼ばれる人たちのかけ声で動きます=2016年7月17日 (写真・田中幸美)
■17日 神幸祭
八坂神社の3基の神輿が午後4時頃から氏子町内を巡行して、四条御旅所にとどまる。

「神幸際」では、八坂神社の3柱のご祭神がそれぞれ神輿にのって、氏子地域を回り、御旅所に到着します=2015年7月17日 (写真・田中幸美)
■18日~21日 後祭 山鉾建て
後祭の山鉾10基の組み立てが行われる。
■21日~23日 後祭 宵山
前祭同様、後祭の山鉾巡行にも宵山がある。
■24日 後祭 山鉾巡行
午前9時30分、10基の山鉾が烏丸御池出発。ルートは、烏丸御池 (午前9時30分)→河原町御池(10時)→四条河原町(10時40分)→四条烏丸(11時20分)

四条通りを進む後祭の山鉾=2016年7月24日 (写真報道局・北崎涼子撮影)
■24日 花傘巡行
後祭の山鉾巡行が17日の前祭の山鉾巡行に合同した約50年前に、山鉾の古い形態を再現するねらいではじめられたもので、京都花街のきれいどころの踊、鷺舞、六斎念仏、子供神ど総勢千人の行列が続く。
■24日 還幸祭
3基の神輿が午後5時ごろ、四条の御旅所を出て、氏子町内をまわり午後10時ごろ八坂神社へと帰る。
■28日 神輿洗
10日の神輿洗と同じように、四条鴨川で中御座の神輿を洗い清め、午後8時ごろ神社へ帰る。
これはあくまでも、観光客や市民が一部見ることのできる主な祭事ですから、祭りを行なう各町会単位では実にさまざまな神事が行なわれているのです。