パリのフラワーアーティスト、エルベ・シャトラン氏の装花の作品=東京都港区の綱町三井俱楽部 (写真・田中幸美)

パリのフラワーアーティスト、エルベ・シャトラン氏の世界


 独特の花器、ブルーやグリーンにほのかに色づいた水、そしてギュッと凝縮された花…。この三位一体がため息の出るような美しさを醸し出します。
 日本で事業展開するために来日したパリのフラワーアーティスト、エルベ・シャトラン氏が7日、東京・三田の「綱町三井俱楽部」で、作品の展示会を開きました。

エルベ・シャトラン氏の装花の作品が展示された綱町三井俱楽部=東京都港区 (写真・田中幸美)


 シャトラン氏の作品は、花を最も美しく見せるために、うっすらと色づけした水と、ガラスの花器を組み合わせることによって、フランス語で「宝石」を意味する「Bijoux」(ビジュー)の輝きを生み出すのが特徴です。残念ながら今回の展示会は一般公開はされませんでしたが、シャトラン氏の美しい作品の数々をご紹介します。

花とほのかに色のついた水、花器の三位一体の組み合わせは特徴のシャトラン氏の作品


 綱町三井俱楽部本館のステンドグラスがはめ込まれた重厚な扉を開いてホールに足を踏み入れると、目に入るのが円筒形のシリンダーをいくつも並べた作品「愛のメリーゴーラウンド」です。八方から見える感じがまるで回転木馬のような印象を受けます。

綱町三井俱楽部1階ホールに演示された「メリーゴーラウンド」


確かにメリーゴーランドのような佇まいです


 さらに木製の大階段を上がった2階の音楽室は、ウエディング装花が施されています。
 新郎新婦のメインテーブルをはじめ、センターテーブル、そしてパターンの異なる4つのゲストテーブルが「ロマンチック」という統一テーマで演出されています。

センターテーブルのテーマは「スイートラブ」。まわりにはマシュマロのようなものが添えられています


 メインテーブルの装花は、八重咲きのトルコキキョウをメインに「純白の愛」を表現。水の入った花器の中にパールを入れたほか、白い布でバラの花びらをかたどった上にパールを敷き詰めました。これは〝パリのスタイル〟だそうです。

新郎新婦が座るメインテーブルのテーマはそのものスバリ「純白の愛」


 4つのゲストテーブルにもそれぞれテーマがあります。たとえば、「愛のスノーボール」は、日本の夏は非常に暑いので涼感あふれるものを提案したいと樹脂で雪を表現し、クールなブルーの水を添えました。

「愛のスノーボール」は、暑い日本の夏に涼感を与えます


 「PARIS~TOKYO」というテーマの装花は、花はパリのイメージ、四角く細長い花器は東京のビル群をイメージして、両都市の親愛・友愛を表現しました。

東京の高層ビルを連想させる細長い花器に、パリをイメージした花が添えられています


 また、シャトラン氏は実際に、染色した水とガラスの花器に花を組み合わせる「ビジュー」の技法を披露。ファッションのハイブランドがよく顧客に提供するというブーケの一例を「大きいブーケのコツは、花をギュッと凝縮させるとお互いが支え合って長持ちするようになります」「ブーケを組んだままの形で花瓶に入れていただくのが理想で、そういう風に作っています」などと解説を交えながら作り上げました。

デモンストレーションで実際の装花を披露するエルベ・シャトラン氏


 シャトラン氏は、自然豊かなフランス南東部のマルヌ地方で生まれ、大好きな祖母のガーデニングをよく手伝っていたそうです。ですから、やんちゃというより繊細な子供でした。「祖母のことを思い出すと今でも泣いてしまいそう」と振り返ります。
 18歳のとき、花屋の仕事を始めました。「花の世界に導いてくれたのは祖母のような気がします」といいます。
 最初の仕事は、かなり大きな倉庫のような店に乱雑に置かれた花を整理するものでした。花をまとめてブーケにしたり、スタイリッシュに店のレイアウトを変更させたところ、高い評価を得て自信をつけたそうです。「最初から僕のスタイルはあったと思います」と振り返ります。

エルベ・シャトラン氏


 その後、アメリカに渡り、ダラスでイベントの装花に特化した花屋で仕事をしながら大きな装花を学びました。
 そしてフランスに戻って2002年に独立。今の「Bijoux」のスタイルは、そのころに始めたそうです。「花瓶によってはシンプル過ぎてつまらないものがあるし、色水にするとまったく違うものに見えますよね」と、スタイルを始めたきっかけを話します。「日本のみなさんにさまざまなところで私の装花を見ていただきたい」と日本での事業展開の抱負を語っていました。

シャトラン氏は、大の日本びいきで、日本食が大好きだそうです


 シャトラン氏は、花とグリーンの「第一園芸」(東京都品川区)と事業提携し、主要都市のホテルやハイブランドのコレクション・イベントなどの会場に装花を提案するそうです。   (写真はすべて田中幸美)

第一園芸のホームページは、http://www.daiichi-engei.jp/


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