水族館劇場にはさまざまな個性的な人物が登場して、ドタバタ劇を繰り広げます=4日、横浜市中区寿町 (写真・田中幸美)

《横浜》瀧のように水が噴き出し、池に人が消える摩訶不思議でスペクタクルな「水族館劇場」 寿町で上演 

Stage, CULTURE

 ステージ中央に出現した池から人が突如飛び出してきたり、池に飛び込んで姿を消したり、さらには四方八方から水が豪快な瀧のように池に落ちてきたり…。ただの芝居でないスペクタクルな舞台が展開です。
 「水のサーカス芝居の一統」の異名を取る「水族館劇場」の公演が今夏、横浜市中区寿町の「横浜寿町総合労働福祉会館建て替え予定地」(横浜寿町労働センター跡地)で行われています。
 この芝居公演は、「接続と孤立」をテーマに現在開催中の現代アートの祭典「ヨコハマトリエンナーレ2017」にちなんだ関連プログラムの1つ。新築建て替えのために更地となった横浜寿町労働センター跡地に手作りの野外劇場を建て、「るなぱあく」(移動遊園地)を出現させているのです。

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横浜・寿町に現れた水族館劇場の建物



 今回の演目は、「もうひとつの この丗のような夢 寿町最終未完成版」。昨年の三重県芸濃町に始まり、東京・新宿の花園神社と場所を変えて行ってきた三部作の最終章だそうです。

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水族館劇場には、摩訶不思議な人物が次から次へと登場します


 ストーリーはこうです。沼地に立つ異国の水夫相手の宿「ミナトホテル」。時はめぐり、人生の敗残を生き延びた人々がひっそりと暮らす寄せ場になっていた。そのミナトホテルに流れ着いた往年の大女優、のらと、のらの親友で世捨て人に変わり果てた劇作家のあまちを中心に、のらの記憶をフラッシュバックするように登場する個性豊かで奇妙奇天烈な人物との関わりを描いたまるで〝この世の夢のような〟芝居です。

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往年の大女優のらは、ある日鏡の中に少女の幻を見ます


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往年の大女優のら(左)と親友で劇作家のあまちの掛け合い


 ステージ上には池のような水槽が出現して、度肝を抜くスペクタクルな演出の数々が披露されます。

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水族館劇場には、ステージ中央に巨大な池のような水槽が出現。中にはコイが泳ぐなど幻想的な世界が醸し出されます


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いきなり下から人が飛び出してきたり、驚きの連続です


 野外劇場はすべて劇団員の手作りです。座付き作家・演出家で芝居の全体構想を手がける桃山邑さんが劇場設計を行い、建設資材の運び入れから組み立てまですべて行います。「芝居小屋を作ることも芝居の営みのうち」と考えているからだそうです。今回の劇場セットは7月初旬から約2カ月かけて作り上げました。水落としの仕掛けや、下手と上手に備え付けられた回り舞台なども、すべて人力で動かしているそうです。

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舞台中央の池に瀧のように水が流れます


 階段状に組み上げられた客席にはゴザが敷かれ、座布団が敷かれます。より前の席に座った方が客席のすぐそばまでせり出して芝居をする役者さんを間近で見ることができるだけでなく、容赦なく飛んでくる水しぶきを味わうなど臨場感あふれる体験ができます。
 さて、芝居小屋の建てられた横浜・寿町ですが、みなさんは「どや街」という言葉をご存じでしょうか。日雇い労働者が多く暮らす町です。どや街は「寄せ場」とも呼ばれ、東京の山谷、大阪のあいりん地区と並ぶ日本三大寄せ場の1つといわれています。
 貧しくとも、体ひとつで稼ぎ、生きてきた人たちの町です。

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夜の寿町


 今回の芝居は、水族館劇場の役者の派生ユニット「さすらい姉妹」が毎年、正月に路上芝居を行っていることから寿町での上演が実現しました。水族館劇場にとってはゆかりの深い町でもあったのです。
 一夜限りのせつなくもどこか笑える水族館劇場の芝居、この世の夢のような特別な体験ができます。(写真はすべて田中幸美)


◆芝居公演「もうひとつの この丗のような夢 寿町最終未完成版」は、横浜市中区寿町4-14-1の「横浜寿町総合労働福祉会館建替え予定地」(横浜寿町労働センター跡地)で。9月13日(水)~17日(日)、午後6時30分から劇場外顔見卋(プロローグ)、全席自由席。公演時間は約120分。午後5時から木戸(受け付け)付近で整理券を配布し、その順番で入場。当日券4800円、中高生3000円(当日のみ販売)。問い合わせは☎080・6412・4897



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