京都の花街ではこの日、芸事の師匠に1年の感謝を表し、来年の精進を誓う「事始め」が行われました=京都市東山区(田中幸美撮影)

《京都》正月の準備を始める「事始め」


 花街や京都の旧家などで正月を迎える準備に取り掛かる「事始め」の13日、京都・祇園では芸舞妓たちが芸事の師匠宅やなじみのお茶屋を訪れて、この1年の感謝を伝えるとともに、来年の変らぬ精進とお付き合いを願いました。

京都の花街で「事始め」⑤.jpg師匠の稽古場には次々に芸舞妓が訪れます=京都市東山区(写真報道局・永田直也撮影)

 

「祇園で事始め」⑥.jpg事始めの13日には、師匠のお稽古場の前には大勢のアマチュアカメラマンが芸舞妓を撮影しようと集まります(田中幸美撮影)


 事始めは花街の伝統行事です。京都市東山区の京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代さんの稽古場には京都五花街の一つ、祇園甲部の芸舞妓があでやかな和服姿で次々に訪れました。

「祇園で事始め」③.jpg「ねえさん、おめでとうさんどす」。待合のスペースではあちこちで挨拶が交わされ華やかな雰囲気(田中幸美撮影)


 室内には玉椿の軸が掛けられ、ひな壇には事前にお弟子たちから届けられた数十個もの鏡餅が飾られています。一足早く新春らしい雰囲気が漂っていました。

京都の花街で「事始め」①.jpg井上八千代さんから舞扇をいただく舞妓さん(写真報道局・永田直也撮影)


 2回目の事始めという17歳の舞妓の瑞乃さんは丁寧にお辞儀をして「おめでとうさんどす。相変わりませずおたの申します」とあいさつしていました。瑞乃さんは来年4月に行われる踊りの発表会「都をどり」に初出演するそうです。

京都の花街で「事始め」⑥.jpg午前10時を過ぎた頃から次々と芸舞妓さんが訪れました(写真報道局・永田直也撮影)


 すると、師匠の井上さんも「おきばりやす。稽古がんばりや」と励ましながら祝儀の舞扇を渡していました。

京都の花街で「事始め」②.jpg先生も弟子もとても美しいお辞儀をしています(写真報道局・永田直也撮影)


 事始めが終わると、花街では忙しい年末にかけて「おことう(お事多)さんどす」というあいさつが聞かれるようになるそうです。花街は年の瀬も優雅どすなあ~。ほな!
(文・田中幸美)


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