花街や京都の旧家などで正月を迎える準備に取り掛かる「事始め」の13日、京都・祇園では芸舞妓たちが芸事の師匠宅やなじみのお茶屋を訪れて、この1年の感謝を伝えるとともに、来年の変らぬ精進とお付き合いを願いました。


事始めは花街の伝統行事です。京都市東山区の京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代さんの稽古場には京都五花街の一つ、祇園甲部の芸舞妓があでやかな和服姿で次々に訪れました。

室内には玉椿の軸が掛けられ、ひな壇には事前にお弟子たちから届けられた数十個もの鏡餅が飾られています。一足早く新春らしい雰囲気が漂っていました。

2回目の事始めという17歳の舞妓の瑞乃さんは丁寧にお辞儀をして「おめでとうさんどす。相変わりませずおたの申します」とあいさつしていました。瑞乃さんは来年4月に行われる踊りの発表会「都をどり」に初出演するそうです。

すると、師匠の井上さんも「おきばりやす。稽古がんばりや」と励ましながら祝儀の舞扇を渡していました。

事始めが終わると、花街では忙しい年末にかけて「おことう(お事多)さんどす」というあいさつが聞かれるようになるそうです。花街は年の瀬も優雅どすなあ~。ほな!
(文・田中幸美)