口から小さな6体の仏を出している僧侶の写真を社会科の教科書などで見たことがありませんか?平安時代の僧侶、空也上人です。
その空也上人の寺として知られる京都市東山区の六波羅蜜寺で、来年がよい年になることを祈る「空也踊躍念仏」が始まりました。
空也踊躍念仏は、空也上人が疫病払いのために始めたとされ、800年以上前から寺の歴代の住職の口伝によって受け継がれ、ひそかに営まれてきました。
鎌倉時代には、幕府によって念仏が排斥され、弾圧から逃れるため、人通りの少なくなる夕暮れ時に、外部に聞こえても念仏と分からないよう「南無阿弥陀仏」の一部の言葉を言い換えた独特の念仏を唱えることで営まれてきたそうです。動作や所作は現在も当時のままとされています。
午後4時、薄闇のなか本堂の内陣では、4人の僧侶が鉦を鳴らしながら前後左右に体を揺らしたり天を仰いだりして、独特の念仏を唱え、導師を勤める川崎純性住職に従いゆっくりと時計回りに回りました。なんと唱えているのかというと、「モーダナンマイトー」「ノーボーオミトー」と唱えています。
この念仏勤行は、参拝者も内陣の外から見学することができます。そして勤行が終わった後には、住職にならってみんなで声を合わせて「モーダナンマイトー」と念仏を唱えていました。住職は「この1年の罪業消滅と来年によい年を迎えられるように祈りながら念仏を唱えてほしい」と話していました。
毎日午後3時45分から15分間住職の法話があり、午後4時から念仏が始まります。30日までは参拝者に公開し、31日は非公開となります。(写真・文 田中幸美)
◆六波羅蜜寺は、京都市東山区五条通大和大路上ル東