京都はお茶だけでなく、お花も盛んな土地柄です。
5日には 新年の門出を祝う華道家元池坊の「初生け式」と、いけばな嵯峨御流の新年拝賀式がそれぞれ行われました。

池坊の初生け式は、京都市中京区の家元道場などで行われ、全国から集まった8~95歳の門弟約1500人が、新春らしい花材で作品を仕上げて華道の精進を誓いました。
初生け式は、いつ頃から始まったか定かではないそうですが、室町時代にまでさかのぼることができるといいますから古い伝統行事ですね。

道場では振り袖姿や羽織はかま姿の男女36人が、隣接するいけばな発祥の地とされる天台宗の寺院、六角堂(頂法寺)を参拝してから、初生けに取りかかりました。静寂の中、パチンパチンと花ばさみの音を響かせながらおめでたい松竹梅やツバキ、千両などの花材を丁寧に生けていました。

池坊専好・次期家元が「よくお花の表情を見てね」などと1人ずつ声をかけながら指導。
自らもナンテンや葉ボタンなどを用いた作品「穏」を披露しました。「昨年は災害の多い一年だったが、難を転じてしなやかに、静かで平穏な年となるように」との思いが作品に込められています。


最年少8歳の参加者、小学2年の亀迫紗綾さんは、華道を初めて1年だそう。「広がった感じにできました。生け花をもっと上手になりたい」と話していました。小さな華道家ですね。

さらに、いけばな嵯峨御流は、新年を祝い人々の平安な暮らしを祈る「新年拝賀式」をJR京都駅に近いホテルの宴会場で行いました。

嵯峨御流は、平安時代に大覚寺を離宮にしていた嵯峨天皇が庭の花を生けたのが始まりとされています。花に命の営みや尊さを託して感じることを理念としています。新年拝賀式は新春にふさわしい花を嵯峨天皇にささげる目的もあるのだそうです。

嵯峨天皇の掛け軸の前で嵯峨流華道総司所の2人の女性理事が、おめでたい新年にふさわしい花材である若松を使い、静かに献華を始めました。

大覚寺の伊勢俊雄宗務総長は「華道全体が盛り上がる年になればいい。嵯峨御流が率先して新しい流れを作っていきたい」とあいさつしました。