生まれ変わった東京都現代美術館が目指す姿 「ローカルの文化を国際的に発信する起点に」 


 3月にリニューアルオープンし、初日は1万人以上が来館するなど話題を呼んでいる東京都現代美術館(MOT)。1995年の開館以来、日本の戦後美術を中心に国内外の作品の研究、収集、保存、展示する機関として、独自の存在感を発揮してきました。約3年の耐震・改修工事を経てリニューアルし、いまも記念の企画展「百年の編み手たち―流動する日本の近現代美術―」に大きな注目が集まっています。生まれ変わった同館の魅力や役割について、学芸員の加藤弘子さんに改めて聞きました。
 ――リニューアル記念の企画展とコレクション展は、質と量の両面で圧倒されます
 「企画展は1910年代から現在まで、この100年の美術がどう変遷してきたのかを再考しました。(14章の展示のうち)1章だけでも展覧会が成り立つテーマの内容を凝縮し、作家のテーマの変化や、社会や海外の関わりにどう応えてきたのかを前後の時代を含めご覧いただきたい。コレクション展『MOTコレクション ただいま/はじめまして』は、2000年代後半から収蔵した作品が中心です。奈良美智(1959~)、村上隆(1962~)らの次の世代の作家が、どのような作品を描いてきたのかが分かります」
 ――どのような視点で展示作品を絞りましたか
 「基本は約5400点のコレクションを体系的に見せることを重視しました。どんな作品を収蔵し、公開するのかということが美術館の性質を表すと考えるからです。館名に現代美術と銘打っていますが、若い作家の作品だけを収蔵しているわけではありません。例えば、企画展にある岸田劉生(1891~1929)の作品は、当時の最先端でした。広義の現代美術は同時代性を含むので、戦前からの流れの中で時代、時代を切り開いてきた作品を見せるのも今回の狙いです」

1_岸田劉生《椿君に贈る自画像》.jpg岸田劉生『椿君に贈る自画像』1914年

7_森村泰昌《肖像(少年1、2、3)》.JPG企画展に展示されている森村泰昌『肖像(少年1,2,3)』1988年(上)、横尾忠則『腰巻お仙』(劇団状況劇場)1966年(下)

6_横尾忠則《腰巻お仙》.jpg

 ――美術館としての性格は変化しましたか
 「基本は変えず、新たな要素を加えていきたいと考えています。リニューアルオープンの記念ロゴは略称MOT(もっと)の『T』の文字をプラス(+)の形に変えて重ね、活動にさらなるプラスを、との思いを込めました。例えば、改修前も屋外展示はありましたが、なかなかうまく使えていませんでした。リニューアルで、より生かせるようにしたいと思います」
 ――施設のポイントは
 「”開かれた美術館”という考え方を基本として、確認しながら改修に向き合いました。(木材やコルク材の)什器(じゅうき)を使い、視覚的、体感的に外と内がつながっているような感覚を大切にしています」
 ――今後の展開は
 「(オリンピックのある)2020年に向け、東京の文化的な発信に貢献することが重要な役割です。同時に、この地域の人たちとのつながりを生かし、ローカルな内容を国際的に発信する起点になりたいと思います。例えば、韓国の現代美術家ヂョン・ヨンドゥが、(MOT近隣の)地元の人たちに取材してつくった作品を展示しています。ここが結節点となり、日本や東京の文化の素晴らしさを発信し、理解してもらうというのが大きな目標です」

mot_kato.JPG学芸員の加藤弘子さん

 東京都現代美術館(江東区三好4-1-1)
 「百年の編み手たち―流動する日本の近現代美術―」
 会期:6月16日(日)まで 月曜は休館
 開館時間:10:00~18:00
 観覧料:1300円、大学・専門・65歳以上900円、中学・高校600円、小学以下無料

 「MOTコレクション ただいま/はじめまして」
 会期、開館時間は同上。
 観覧料:500円、大学・専門400円、高校・65歳以上250円、中学以下無料


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