新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東山花灯路や清水寺の夜間特別拝観、花街の春の舞踊公演など京都でもさまざまな春の行事が中止となっています。
そんなか、豊臣秀吉の正室、北政所(ねね)ゆかりの寺として知られる高台寺で当初の予定通り、春の夜間特別拝観とライトアップが始まりました。

方丈の前庭の「波心庭」では、桜の陶板画を展示。もうすぐ花を咲かせるしだれ桜との共演が待ち遠しいです
今年のライトアップのテーマは「乱舞」。庭の勅使門の前には日本画家、加山又造の桜の名画「おぼろ」をモチーフにした縦1・7メートル、横3・6メートルの陶板画を展示しています。陶板画は焼き物の大塚オーミ陶業(大阪市)が今回のライトアップのために制作したそうです。
庭園の監修を担当したのは、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の庭園指導を手掛ける造園家の北山安夫さんです。現在の暗い世情を吹き飛ばそうと、庭の白砂に描かれた砂紋に赤や黄などの色を付け、楽しく華やかな印象を演出しました。色の付いた白砂が照明を受けて美しく浮かび上がっていました。枝を垂らす美しいしだれ桜が満開になる3月下旬には、絵と本物の桜の共演が楽しめそうです。

桜の陶板画もライトアップで浮かび上がります
高台寺は市内の寺院で初めて1994年にライトアップを開始しました。最初は「修行道場でなにごとか」などと激しい反発がありましたが、翌年大勢の観光客が訪れると、他の寺院も順次追随。高台寺は、阪神大震災をはじめSARS騒ぎや東日本大震災などが起こった年もライトアップを中止することなくこれまでずっと続けてきました。今年は京都市内で各地でさまざまな催しや行事が中止になるなか、高台寺は、「京都に来る人の楽しみを奪いたくない」と実施を決定したそうです。実際、感染が拡大してからというもの、日本人観光客が戻ってきているということです。

波心庭は日が沈むと徐々にライトアップされていきます
高台寺の奥村紹仲執事長は「さまざまなイベントに影響が出て大変寂しい。高台寺は1年中門を開いている寺なので桜を見て心を癒し、元気な気持ちになっていただきたい」と話していました。
ライトアップは5月6日までの日没から午後10時(午後9時半受け付け終了)。大人600円、中高生250円、小学生以下無料。 (写真と文 田中幸美)