延暦寺根本中堂の素屋根に掲げられたキーヤンのタペストリーにはさまざまな動物が描かれている

《京都》絵師キーヤンが比叡山延暦寺にタペストリー奉納 


 京都市を拠点に活躍する壁画絵師のキーヤンこと、木村英輝さん(78)がこのほど、大規模改修中の滋賀県大津市にある世界遺産・延暦寺根本中堂(国宝)にタペストリーを奉納しました。タペストリーには象やクジャク、コイなどの動物や人が堂内にある「不滅の法灯」へと導かれるように舞う様子が描かれています。

「タペストリー象」③修.jpg

素屋根の南側には象を中心としたさまざまな動物と人が描かれている


 タペストリーは、底辺約18メートル、高さ約7メートルの直角三角形で、タイトルは「生けるものたち何処へ行く」です。象をはじめ、クジャクやコイなど木村さんがよく描く動物たちと人間がそろってある方向に向かって飛んでいます。その方向には、延暦寺を開いた伝教大師最澄が灯し、1200年の間一度も消えたことがないとされる「不滅の法灯」が輝いています。

「不滅の法灯の分灯式で、種火から分法された4基の灯ろう 」修.jpg

最澄がともしたとされる「不滅の法灯」。1200年にわたって消えることなく灯されています


 根本中堂は工事のために素屋根と呼ばれる囲いにすっぽりと覆われており、タペストリーは素屋根の中の南北2カ所の側面に設置されました。
 木村さんはアクリルガッシュと呼ばれる絵の具を使って帆布に約6分の1サイズの原画を描き、それを超高精細デジタル画像の技術でスキャニングして、テントなどに使われる防災加工を施した生地に印刷して仕上げたそうです。


「根本中堂にタペストリー」⑤修.jpg 

延暦寺でこのようなアート作品を掲出するのは初めてということです

 

 延暦寺では修理の様子を公開しており、素屋根内に設けた通路からタペストリーを見学することができます。タペストリーは令和7年度の工事終了まで掲出し、その後、細かく裁断してトートバッグに仕立てて販売するそうです。必要経費を除き売り上げは全額寄付する意向といいます。

「タペストリー」①修.jpg

南北2カ所の側面に掲げられたタペストリーはこの通路から見ることも撮影することもできます

 

 絵師の傍らロックイベントのプロデュースなどを手掛ける木村さんが3年前、延暦寺のロック好きな僧侶と意気投合し、殺風景な素屋根を明るくしてほしいと絵の奉納が決まったそうです。
 木村さんは「プリントなのにまるで描いたようで驚いた。地球温暖化やAI(人工知能)など制御できない問題に手を付けた人間はどこへ向かうのか不滅の法灯に導いてほしいとの思いで描いた」と制作の意図を話していました。
 キーヤンの愛称で親しまれる木村さんは還暦目前に絵師となり、「究極のアマチュアリズム」を旗印にこれまで国内外約200カ所以上の壁画を手がけました。青蓮院門跡(京都市左京区)の60枚の蓮の襖絵や、広島東洋カープの本拠地、マツダスタジアム(広島市南区)のコイの壁画などが代表作です。
 


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