緻密な描写と奇抜な画想で知られる江戸時代に活躍した京都の絵師、伊藤若冲(1716~1800年)は、展覧会をするとたちまち行列ができるほどの人気ぶりで、日本を代表する画家の1人です。今年1月のNHK正月時代劇「ライジング若冲~天才かく覚醒せり~」をご覧になった人も多いのではないでしょうか。

2016年、東京都美術館で行われた「若冲展」には大勢の若冲ファンが詰めかけました

若冲の代表作「釈迦三尊像」

NHKの正月時代劇ドラマ「ライジング若冲」の冒頭に登場した若冲最初期の作品「蕪に双鶏図」(京都・福田美術館蔵)
落款などから若冲が晩年に描いたとされる傑作「石灯籠図屏風」に、若冲の筆跡とみられる墨書と印があることが、所蔵する京都国立博物館(京都市東山区)が行った修理で発見されました。1月31日まで開催中の特別企画展「文化財修理の最先端」に展示されています。

「石灯籠図屏風」の左隻(京都国立博物館蔵)
屏風は六曲一双で、それぞれが縦1・59メートル、横3・6メートルの水墨画。立ち並ぶ石灯籠をモチーフにしており、花鳥画をもっぱら描いた若冲としては珍しい作品です。石灯籠や石柵は水墨によって無数の点々で描かれ、点描の濃淡や粗密を変化させて石のざらざらとした質感や立体感を見事に表現しています。

「石灯籠図屏風」の右隻(京都国立博物館蔵)
画面下部を中心に虫食いがひどく、経年劣化で屏風を開閉すると大きな負荷をかけるなどしていたため、京都国立博物館の文化財保存修理所で2017~18年度に全面解体修理を行って、裏打紙から表具裂などすべてを新調したそうです。
解体修理の際、屏風の周囲の木の枠から表具師の名とみられる墨書が見つかったほか、右隻と左隻の縁裂下には「生島子石画後々余遇也」と記されていたことがわかりました。筆跡や朱印から若冲のものとみられ、生島は発注者の名前、石画は石灯籠を描いたこの作品を示すとみられています。

「石灯籠図屏風」は1月31日まで京都国立博物館に展示されます
博物館の福士雅也主任研究員は、画家自らが墨書を記し捺印することは極めて珍しいとし、「強い思い入れのある特別な作品だったのでは」と話していました。