〝忍者の里〟の巨大秘仏が上野にやってきました-。
滋賀県甲賀(こうか)市にある天台宗の古刹(こさつ)、櫟野寺(らくやじ)の本尊「十一面観音菩薩坐像」をはじめとする国の重要文化財の仏像全20体を一同に展示した「特別展 平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」が12月11日まで東京・上野の東京国立博物館で開催されています。本尊は秘仏といわれ、普段は大きな厨子(ずし)に入っており、寺ではゴールデンウイークや年末年始などに限定して公開しています。寺の外での公開は今回が初めてといいます。

櫟野寺所蔵の重要文化財全20体
本尊の「十一面観音菩薩坐像」は、像高約3メートル、台座や光背を含めると高さが約5メートル超となる巨大な像です。東京国立博物館の丸山史郎・特別展室長によると、「重文に指定された坐像の十一面観音菩薩像としては最大の大きさ」といいます。
頭と体を1本のヒノキと思われる木で作った「一木造」(いちぼくづくり)で、頭と体が580キログラム、足が160キログラム、計740キログラムもあります。左手にハスの花が入った花瓶、右手に数珠を持ち、木の重さが伝わってくるような重厚な姿と、下ぶくれで目が細くつり上がるなど、りりしい顔が特徴です。延暦寺にあった工房に所属する仏師が10世紀ころに作ったとされています。
丸山さんは「特に頭上の十一面に注目していただきたいですね。牙を上に向けた顔や怒りながら笑っている珍しいお顔などが間近で見ることができます」と鑑賞ポイントをあげました。会場の中央に配置してあるので、360度どこからでも鑑賞することができます。

重要文化財「十一面観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺

また、一緒に展示されている「薬師如来坐像」は、本尊には及ばないものの像高約2・2メートルあり、11世紀後半から12世紀にかけて作られたとされています。延暦寺根本中堂の本尊も薬師如来像であることから、天台宗の古刹にふさわしい仏像といえます。
また、「毘沙門天立像」(びしゃもんてんりゅうぞう)は、平安時代初期に征夷大将軍を務めた武将・坂上田村麻呂が、鈴鹿山脈の山賊追討の戦勝祈願のため作ったという伝承が残っています。つり上がった目や「へ」の字にゆがめた口、頬の線や腹部に付けられたユーモアのある面などが特徴です。

重要文化財「薬師如来坐像」 平安時代・12世紀 滋賀・櫟野寺

重要文化財「毘沙門天立像」 平安時代・10~11世紀 滋賀・櫟野寺
櫟野寺は792(延暦11)年、天台宗の開祖、最澄が比叡山延暦寺建立のために必要な材木を求めてこの地を訪れ、櫟(いちい)の霊木に観音像を刻んだことが始まりといわれています。
仏像を収めていた収蔵庫が改修工事に入ったため、工事が完了するまで寺外で特別に展示されることになりました。特別展終了後に仏像は寺へ戻りますが、本堂の改修工事が完了する2018(平成30)年10月の落慶法要のときまで開帳はしないそうです。
となると、この特別展が秘仏を拝観する貴重な機会となりそうですね。
「特別展 平安の秘仏-滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」 は12月11日(日)まで、東京都台東区上野公園13―9の東京国立博物館で。午前9時30分~午後5時(祝日と週末は開館時間が延長されることがあります)、月曜休館。問い合わせはハローダイヤル☎03・5777・8600。
公式ホームページは、 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id...
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