舞台を中心に撮影するフォトグラファーの宮川舞子さんが25日まで、アメリカ・ロサンゼルスで写真展「佐渡の清姫物語り」を開催しています。新潟県の佐渡を拠点に活動する太鼓芸能集団「鼓童」の名誉団員でソロアーティストの小島千絵子さんがライフワークとして取り組む「道成寺 安珍と清姫の物語」をテーマに、佐渡の風光明媚な四季折々の風景に小島さんを配した写真で物語を紡ぎました。小島さんふんする清姫は、春は一面黄色の菜の花畑にたたずみ、秋には打ち鳴らす太鼓の響きで紅葉を散らし、厳寒の強風吹きすさぶ日本海の荒波に身を任せ一心不乱に踊ります。
写真展は、小島さんがロサンゼルスの太鼓グループと行うコラボレーション公演に合わせて、公演会場で開催しています。公演終了後はニューヨークに舞台を移し、単独での写真展を約1カ月開催するそうです。

佐渡・羽茂で撮影された一面の菜の花畑にたたずむ小島さん ©Maiko Miyagawa

燃え盛る炎に身を焦がす清姫を演じる小島さん ©Maiko Miyagawa

新緑の城山公園にたたずむ小島さん ©Maiko Miyagawa

小島千絵子さんとロサンゼルスの太鼓グループのコラボ公演が行われている会場で同時開催される宮川舞子さんの写真展=EAST WEST PLAYERS (THE NATIONS ASIAN AMERICAN THEATER)(写真・宮川舞子) ©Maiko Miyagawa

宮川舞子さんの写真展と小島千絵子さんの公演が行われている会場前にはたくさんの人が集っていました=EAST WEST PLAYERS (THE NATIONS ASIAN AMERICAN THEATER)(写真・宮川舞子) ©Maiko Miyagawa
神奈川県秦野市出身の宮川さんは高校時代になんとなく入った写真部で覚えた暗室の現像作業にはまり、写真を志すようになりました。進学した日大芸術学部写真学科では、役者の卵を撮影したり、楽曲の歌詞のイメージをふくらませて妄想を抱いては、友人らに登場人物になりきってもらい撮影するなどしていました。
舞台写真との出会いは、大学卒業の際に演劇学科の友人から頼まれて卒業公演を撮影したことだったと振り返ります。「突然目の前で人間が動き出すのにビックリしたとともに身体表現の美しさにひかれました」。
舞台写真家のアシスタントを約1年経験した後、フリーランスに。といってもさしたる写真の仕事もなくアルバイトなどで食いつないでいました。2002年、松葉づえで活動する写真家、シギー吉田さんに誘われ、鼓童メンバーのポートレート撮影の手伝いのために初めて佐渡に渡りました。そこで、シギーさんの勧めもあり、小島さんを撮影することになったのです。第一印象は「踊り出すととてもミステリアスなのに、しゃべるときょとんとしたとても不思議な人」だったそうです。
「興奮して撮影したうれしさと、いい写真が撮れた手応えがあった」と振り返ります。そしてそのとき、プロ写真家として再起を図ろうと決意したといいます。雑誌の舞台撮影や公演パンフレットの撮影などの仕事をする傍ら、小島さんのソロ公演や楽屋での様子などを撮影。「いつか写真集としてまとめたい」と漠然と思っていました。

舞台を中心に撮影するフォトグラファーの宮川舞子さん(写真 田中幸美)
そして、小島さんから「清姫で写真集を作りたい」という提案を受け、2014年冬から、佐渡金山や矢島・経島など佐渡の名所を舞台に四季折々で撮影をスタート。約5000カットの中から25点を選び15年4月21日、小島さんの誕生日に写真集を完成させました。撮影は助手も手伝いもなく2人だけで行い、太鼓を運んだ際には「普段カメラが重いと思っていましたが太鼓は強烈に重かった」と話していました。そして、できあがったときには「私たちの子供だわね」と顔を見合わせたそうです。
佐渡を皮切りに神奈川県鎌倉市や愛媛県八幡浜市、そして本家本元の道成寺(和歌山県日高川町)などで写真展と小島さんの太鼓と踊りによるライブを一緒に開催しました。そして9月、清姫は海を渡ったのです。
宮川さんは「あれよあれよという間に写真集も写真展もできました。いい人に恵まれ肩肘張らずに撮影してきました。これからもずっと追いかけたいと思います」。無邪気な笑顔が広がりました。(田中幸美)

ライフワークとする「安珍清姫物語」を演じる鼓童の小島千絵子さん ©Maiko Miyagawa
◆鼓童の小島千絵子さんがロサンゼルスの太鼓グループと行うコラボレーション公演及び宮川舞子さんの写真展については以下のサイトで
http://www.eastwestplayers.org/on-the-stage/road-t...