かなり前から東京でも「自然派ワイン」や「ビオワイン」の新たなトレンドが広がり、それらのワインを飲める店の特集がファッション誌などでも組まれてきました。その一方で、「勧められて飲んでみたけど、おいしくなかった」と苦い経験をした人も少なくないようです。そこで、あらためて本当においしい自然派ワインをお勧めしたいと思います。
広尾にあるビストロ アンクゥー (Bistro un coup) のオーナーでソムリエでもある飯野瑞樹さんは自然派ワインという言葉が生まれる前から一貫して、こうしたワインの魅力を伝えてきました。
食事を楽しんでいる人には、この店の宮崎和幸シェフがつくる一皿一皿の味わいに合ったワインを飯野さんがマリアージュしてくれます。少し遅い時間にカウンターに座って飲む人には、その日の気分や好みに合った一杯をグラスに注いてくれます。
今ではアカデミー・デュ・ヴァンで自然派ワインの講座をもっている飯野さんですが、最初はブルゴーニュのワインに魅了されフランスに渡りました。ところが、約束されていたブルゴーニュでの仕事が反故になり、落ち込んでいた時にマルセル・ラピエールさんに出会いました。まるで、運命のいたずらみたいです。
いまでは自然派ワインの愛好家にとって限りなく偉大な存在となったマルセル・ラピエールさんが手掛けたワインを飲んだ瞬間に、「今まで飲んできたワインは何だったのか」と、飯野さんは強い衝撃を受けました。
そして飯野さんはラピエールさんの下で2年間ワインづくりに携わり、休みの日にはポンコツ車を運転してフランス中の自然派ワインの作り手を訪れ、自分の人脈を広げるとともに知識を深めました。
他の生産者を訪れる時には必ずラピエールさんから託されたワインをもって、そして帰るときは訪れた先のワインを託されて…。そうやって飯野さんが知り合った自然派ワインの作り手の数は140以上にもなるそうです。
自然派ワインをつくる工程は、人工的なものに頼らない地道な作業。いつも長い一日の仕事を終える時にラピエールさんが言ったのが「まあ、とりあえず一杯….」といった意味合いのアンクゥー(un coup)というフレーズです。
ぜひ、今年の夏は広尾のアウンクゥーで「とりあえず一杯」飲んで、自然派のワインの本当の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

自然派ワインの数々ⓒWaki Hamatsu
ビストロ アンクゥー Bistro un coup
東京都港区麻布4-2-49 2F
03-6277-0889