暑すぎる東京の夏をどう快適に過ごすか。その答えの一つが、静かな美術館で絵画やアート作品を、ゆっくりと楽しむことだろう。都心のオアシスのようなアーティゾン美術館を訪ねて実践してみよう。
美しい建物と空間の中で
好きなアートと向き合う。
ブリヂストン美術館(1952年開館)を前身とし、2020年に5年の新築工事期間を経て開館したアーティゾン美術館。東京駅、東京メトロ京橋駅・日本橋駅から徒歩5分という立地で、銀座からも歩ける距離にある。美しい外観を持つ美術館は、都心にありながら、その中に一歩足を踏み入れると、凜とした静かな空気を感じる。1階はエントランスロビーで、右手にミュージアムカフェ、正面にチケットカウンターがある。来館前にウェブ予約チケットを購入する「日時指定予約制」のため、入館待ちの混雑などがなく、エントランスから展示までスムーズに進むことが可能。予約枠に空きがあれば当日でもチケットを購入できる。フロアを上がると、2階にミュージアムショップがあり、3階はメインロビーとレクチャールームになっていて、入場ゲートへと進む。
入場ゲートを通ったら、エレベーターで6階の展示室まで上がり、ここからじっくりと展覧会を楽しもう。展示室は、6、5、4階の3フロア。見やすい展示環境に加え、スマートフォンとイヤフォンがあれば、公式アプリを使った無料音声ガイドも利用でき、作品と向き合う時間は、さらに充実したものとなる。一部の作品を除き撮影もOK。記憶と記録に残る美術鑑賞が楽しめる。
石橋財団コレクションは、約3000点もの作品を所蔵し、モネ、ルノワール、セザンヌといった名画に、青木繁、岸田劉生、佐伯祐三などの日本近代洋画なども含まれている。これらを紹介する石橋財団コレクション選もまたこの美術館の魅力のひとつだ。
天井の高いエントランスロビーから2階へと続く階段とエスカレーター。
ミュージアムカフェのランチセットのメニューの一例。
「石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト」の展示風景。
ミュージアムショップには、ステーショナリーから図録までさまざまなアイテムが揃う。
アーティゾン美術館を
満喫するために。
夏のアーティゾン美術館の過ごし方でぜひおすすめしたいのが、ミュージアムカフェでのランチやカフェ、ディナーを予定に組み込んだ作品鑑賞だ。来館予約と併せて、オンラインでランチ、カフェ(火、水、木曜日はアフタヌーンティーの提供もあり・要予約)、ディナー(金曜日のみ)も予約しておくと充実したミュージアムでの一日が楽しめる。作品鑑賞は、思いのほか時間を要するので、タイムスケジュールは余裕を持って組んでおきたい。4、5階のビューデッキは、じっくりと作品と向き合う合間に利用すれば、リフレッシュして再び作品を堪能できる。4階のデジタルコレクションウォールもお見逃しなく。すべての展示を観た後、ミュージアムショップでしっかり買い物も楽しんで、カフェへと向かおう。
《Exhibition》
彼女たちのアボリジナル・アート
オーストラリア現代美術
2025年9月21日(日)まで
開館時間:10:00〜18:00(金曜は〜20:00)
※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日
会場:アーティゾン美術館6F・5F展示室
入館料:ウェブチケット1800円、窓口チケット2000円、学生無料(要ウェブ予約)
※中学生以下は予約不要、障がい者手帳をお持ちの方および付き添い1名は無料(予約不要)。
※この料金で同時開催の展示会もご覧いただけます。
※スマートフォンとイヤフォンをお持ちください。アプリで所蔵作品展示の無料音声ガイドをお楽しみいただけます。
同時開催:石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト
日本初となるアボリジナル
女性作家たちの展覧会。
近年、国際的な現代美術の動向として、地域独自の文脈で生まれた作品が再考される中、オーストラリア先住民によるアボリジナル・アートが改めて注目を集めている。本展は今日のオーストラリアのアートシーンを牽引し、国際的な現代美術の舞台でも存在感を強めているアボリジナル女性作家たちに着目し、創作活動や多様性に満ちた作品を丁寧に見ることで、彼女たちが台頭してきた背景やアボリジナル・アートの「いま」を感じ取れるだろう。世代と地域を超えた7人と1組の作家たちと、彼女たちの作品をじっくりと観てほしい。
7人と1組の作家たち:伝統文化が深く根づくコミュニティ出身の作家、エミリー・カーマ・イングワリィ、マーディディンキンガーティー・ジュワンダ・サリー・ガボリ、ノンギルンガ・マラウィリ。アートコレクティブ(芸術集団)として活動するジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ。都市部出身あるいは都市部を拠点に活動する作家、マリィ・クラーク、ジュリー・ゴフ、イワニ・スケース、ジュディ・ワトソン。
イワニ・スケース《えぐられた大地》2017 年、ウランガラス(宙吹き)、石橋財団アーティゾン美術館
© Courtesy the Artist and THIS IS NO FANTASY
マリィ・クラーク《ポッサムスキン・クローク》2020-21 年、ポッサムの毛皮、ヴィクトリア州立美術館
© Maree Clarke
スッキリとした美しい外観が印象的な「ミュージアムタワー京橋」に美術館がある。
ARTIZON MUSEUM
中央区京橋1-7-2
Tel. 050-5541-8600
https://www.artizon.museum/