ベリッシモ・フランチェスコさんに聞く!本物のオリーブオイルを食卓に


 オリーブオイルは、オレイン酸やポリフェノールなどを多く含むとされ、「体に良い」というイメージで人気です。オリーブオイルを使ったレシピ本が次々と出版されるなど一般的となり、キッチンに常備しているという家庭も増えているようです。しかし、本当においしいオリーブオイルを使っていますか?

 テレビで人気の料理研究家ベリッシモ・フランチェスコさんに話を聞きました。ベリッシモさんは2015年9月、イタリア・オリーヴ・オイル・ソムリエ協会(AISO)認定のソムリエ・デル・オリオ(イタリアのオリーブオイルのエキスパート)の資格を取得。セミナーや料理教室、オリーブ生産地のアドバイザーとしても活躍しています。

セミナーでオリーブオイルの魅力を伝えるベリッシモさん


 オリーブオイルは、オリーブの果実から絞る油。ワインと同様に、品種はもちろん、育った土地の季候や土壌といったテロワールによって風味が大きく異なります。ベリッシモさんによると、イタリアは南北に長く、変化に富んだ地形を持つことから、栽培されているオリーブの品種は300以上と多く、オリーブオイルの個性が非常に豊かです。しかもなかには樹齢千年以上という木もあるほど歴史ある栽培地もあり、他にはない味わいがあるといいます。

 たとえば、地中海性気候に恵まれたプーリア州など南部イタリアでよく栽培されている「コラティーナ種」。強いフルーティーな香りと苦味、辛味、コクのあるオリーブオイルで、ステーキなどの肉料理や豆料理にぴったりです。中部イタリアで近年評価が上がっている「イトラーナ種」は、翡翠の様な深い緑色のオイルで、青いトマトやバナナのような豊かなアロマだけでなくハーブ感も味わえ、苦味と辛味のバランスも良いのが特徴です。モッツァレラチーズにかけるだけでカプレーゼのような味わいになります。比較的冷涼な北部イタリアでもオリーブは栽培されています。リグーリア州の主要品種である「タジャスカ種」はフルーティーで苦味や辛味が少なく、さっぱりとした風味のオイルです。カルパッチョや白身魚のソテーにはぴったりで、和食にも合わせやすいそうです。

プーリア州で収穫されたオリーブの実 ©Fototeca ENIT

 ベリッシモさんは「健康的なオリーブオイルとは、高品質のものを指します。低品質のオイルには、病気のオリーブや腐ったオリーブ、ひどいものだと不純物が混ざっているケースもあり、むしろ体に有害な恐れがあります」と警鐘を鳴らします。日本では、酸度0.8%以下で欠陥のないオリーブオイルをエクストラバージンとし、それ以外をピュア、精製などと差別化していますが、エクストラバージンを選ぶのが安心だそうです。

 ベリッシモさんによると、エクストラバージンも玉石混交で、高品質のオイルを見分ける必要があるそうです。ヒントは3つあります。

 まずは、ボトルの品質。「オリーブオイルには3つの敵があります」とベリッシモさん。まずは光。光に当たるとオイルに含まれるポリフェノールが失われ、苦味や辛味などの風味が損なわれてしまいます。次に、酸素。ボトルを開けるたびに酸化してしまいます。最後は温度。オリーブオイルは熱に弱く、25度以上になると劣化してしまうのです。このため、遮光性があるガラス製の小さい瓶が望ましいことが分かります。プラスチック製のお徳用サイズのボトルをガス台の周りに置いていたら、完全アウト!というわけです。テーブルにオリーブオイルを出しっぱなしにしているレストランをよく見かけますが、これも酸化防止の観点からは好ましくありません。

 次に、産地と品種、いつどこで収穫したオリーブなのか。「イタリア原産」「スペイン原産」としか書かれていない場合は、要注意。輸入加工品は、日本の食品表示に関する規定で最終製造国を「原産国」と表示することになっています。あくまで瓶詰めされた国であり、オリーブの産地とは関係がないのです。となると、頼りになるのはイタリア語のラベル。ただ、国内で販売されている輸入オリーブオイルには日本語表記のシールが貼られていて隠れてしまっていることもあります。

 そこで確認したいのが、EUの認証マークの有無。指定された地域内で生産加工されたものには「D.O.P」、製造過程の一工程が指定地域内で行われているものには「I.G.P」というマークが付いています。

遮光性のあるガラス瓶に入ったオリーブオイル


 しかし、これはあくまでヒント。「保管や輸送状況によっても品質は左右されます。オリーブオイルの風味は、収穫状況やその年の天候によっても変わります。最後は自分の舌で確かめるしかない」とベリッシモさんは強調します。専門家のいる、試飲できる店で、自分好みのオリーブオイルを探すのが、良いオイルと出会うもっとも確実な方法だそうです。

 国内ではオリーブオイルの専門家はまだまだ少ないのが現状。ベリッシモさんは「高級レストランでさえ、知らずに粗悪なオリーブオイルを提供していることがある」と嘆きます。「日本の人に良いオリーブオイルの味を知ってほしい。自分が食べているものをよく知り、家庭で良いものを食べることが健康と幸せにつながるんです」と話していました。

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 メトロポリターナでは29日(木)、表参道でイタリアワインとオリーブオイルを学ぶ女性限定イベント「旅するカルチャースクール~イタリア編~」を開催します(事前予約制、25日申し込み締め切り)。ベリッシモさんの愉快なトークと本物のオリーブオイルを味わいませんか。


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