「すっご~い!!」
「エエ~ッ!!」
1列になった6人がシンクロさせてバック転を披露したり、屋外ステージの左右両手から順番にたたみかけるようにバック宙で中央に舞い降りると、広場に集まった人たちから歓声と盛大な拍手が湧き起こりました。

初めて見る人たちは驚愕のパフォーマンスにくぎ付けになっていました=4月16日、横浜市西区のグランモール公園 (写真・田中幸美)
男子新体操のアクロバティックな動きとストリートダンスを融合させたパフォーマンス集団「BLUE TOKYO」(ブルートーキョー・BT)が16日、横浜市西区みなとみらいにあるグランモール公園「美術の広場」に登場しました。
これは15、16日の両日、横浜市のみなとみらい21地区やイセザキモールなどを舞台に、国内外から46組102人のパフォーマーが参加して盛大に行われた「ヨコハマ大道芸」のプログラムの一環です。

アクロバティックな動きとストリートダンスを融合させたパフォーマンス集団「BLUE TOKYO」は青森大学男子新体操部のOBです
BTは、昨年のリオ五輪閉会式の「東京セレモニー」で光フレームを駆使しながらのアクロバットとダンスで世界を魅了した青森大学男子新体操部のOBが結成したプロのパフォーマンスユニット。リオ五輪を機に、競技としての男子新体操が脚光を浴びるとともに、唯一無二の存在としてBTにも注目が集まっています。

男子新体操の定番の技「鹿倒立」を披露するBT

そもそも男子に限らず新体操は室内競技。大道芸は日中、しかも屋外でのパフォーマンスで、投げ銭ありとBTにとっては初めてづくしの経験となりました。
この日の演目は今年2月、地元青森で行った舞台公演「BLUE 重力の枷(かせ)」の一部をアレンジして披露されました。「重力の枷」の物語に登場する「跳芸団」(ちょうげいだん)と呼ばれるちょっとした大道芸を披露しては日銭を稼いだりスリを働いたりするしいたげられた若者たちを演じました。

今回の大道芸のもとになった舞台「BLUE vol5〝めぐる〟」。年に一度の地元青森への凱旋公演の意味合いを持っています=2月18日、青森市のリンクステーション青森 (写真・田中幸美)

BTの真骨頂はわかりやすいアクロバティックな動き。日中の屋外のパフォーマンスはとても楽しそうでした
リーダーの大舌恭平さんは、「僕らが素直に通常のパフォーマンスをすると、大道芸ではないものになってしまいます」と話します。そこで、BTのキャラクターイメージを崩さずに大道芸にふさわしいものはとひらめいたのが「跳芸団」でした。「大道芸と聞いて、僕たちが演じた跳芸団を自然にイメージしました。まんまだなあと思いました」と振り返ります。

BTリーダーの大舌恭平さん

しかも、今回のパフォーマンスは男子新体操の団体演技の約3分に比べても17分とかなり長く、しかも6人のメンバーのみで構成しなくてはならず、時間配分などをかなり考えたそうです。
その成果もあって、BT初体験の観客は驚愕をもってその名を胸に刻んだでしょうし、なじみのファンの人たちもとても満足した様子でした。子供からお年寄りまで投げ銭をしようとメンバーのもとに集まる姿がそれを物語っていました。

ストリートダンスグループでもあるBT

研ぎ澄まされた肉体が音楽に合わせて躍動する繊細かつダイナミックなパフォーマンスに集まった人々はすっかり魅了されていました。
大舌さんは、「最近は、新体操ってあの団体でアクロバットとかするやつですねと世間の認識が変わってきました」といいます。

BTは唯一無二の存在感を定着させています
BTは、昨年12月から今年1月にかけてドイツ国内の20都市で32公演を行い好評を博すなど活動の幅を広げています。
大舌さんは「今のパフォーマンスのレベルを上げる作業はもちろんですが、世界を視野に入れて活動したい」と、夢を語ります。「わかりやすいパフォーマンスが僕たちの真骨頂なので」
(写真・文 田中幸美)