新鋭SF作家として注目されるケン・リュウの短編集『紙の動物園』は、ネビュラ賞やヒューゴー賞などの賞を総なめにした表題作をはじめ、日本でも高く評価され、好調な売れ行きを見せた。その面白さに驚嘆した後、訳者あとがきを読んで二度驚いたのを覚えている。「本書と同レベルあるいはそれ以上の作品集は、今後何冊も作れる」。これ以上のものが? 何冊も? 信じられない!
だからこそ、第2弾作品集になる本書を読み終えたとき、沸々と喜びがわきあがった。歴史改変物(ありえたかもしれないもう一つの世界を描く)からロボットや宇宙旅行といったSFの設定に、ほのかに漂うノスタルジーと切なさ。中国で生まれ、アメリカに移住した作者ならではのアジアの香り。筆者が、普段SFを読まない読者にもリュウ作品を熱心に薦めるのは、こうした魅力ゆえなのだ。