「これは、あの震災を受けてのSF。その意味で私の中では『震災文学』なんです」。作家、島田雅彦さん(56)が新しい長編『カタストロフ・マニア』(新潮社)で、空前の大淘汰(とうた)に見舞われる近未来の人類を描いた。ユーモアもきかせたポップなサバイバル譚の底に、現代人への重い問いかけが潜む。(海老沢類)
舞台は2036年。新薬の治験アルバイトのため郊外の病院で眠っていた26歳のゲーマー、シマダミロクは、目覚めたときに世界が一変しているのに気づく。病院はもちろん、コンビニや駅ももぬけの殻。明かりもなく、車や人影が絶えた都市が広がっていた。
太陽のフレア爆発が引き起こした磁気嵐によって全ライフラインが停止し原発は危機的状況に。ボトルネック・ウイルスなる伝染病の大流行も重なり、人類は滅亡へと突き進んでいたのだ。