前回に続き、江ノ電をメーンに夏の風景を収めてきました。鎌倉高校前駅での撮影を終え、腰越―江ノ島駅間に移動。ここは江ノ電が路面電車のように、道路を走る絶好のスポットです。望遠レンズ(焦点距離70~300mm)を使って、街並みに溶け込んだ様子を狙いました。
望遠レンズで遠くのものを大きめに
撮影場所を真っすぐに延びたレールの正面に定め、シャッターチャンスを待ち構えます。まずは、江ノ電を際立たせるため、真横を走るクルマや歩行者などがあまり写り込まないようにしていたところ、しょうめい先生からひと言。
「今回はいろいろな被写体を構図のなかに『圧縮』して収めてみよう。望遠は遠くのものが大きめに写るので、近くのものとのサイズの違いが少なくなって距離感が縮まる効果があるんだ」
確かに、冒頭の先生のお手本を見ると、江ノ電と街がきれいに融合していました。1枚の中にびっしりと要素が詰まっていて、どこかアジアの街のようなにぎやかさを感じます。目で見るのとは違う、望遠の特性の一つ「圧縮効果」を知ることができました。
これまで撮りたいテーマを際立たせる構図を練習してきましたが、少し写真が寂しいときはこの技術が活用できそうです。先生のアドバイスを参考に早速、シャッターを切ると今までの写真と全然違う感じで撮ることができました!
次に長谷駅に移動し、テレビドラマのロケ地としても知られる御霊神社の踏み切りへ。境内から、鳥居のなかを通過する江ノ電という構図を狙います。踏み切りの音に緊張しながら、前回学んだ流し撮りのテクニックを思い出し、ベストな一瞬を逃さないよう連写。ちょうどお祭り用の提灯(ちょうちん)も飾ってあり、季節感がうまく表現できた自信作です!
ほかにも、長谷駅近くで、民家すれすれに走る江ノ電を撮影。曲線を描くレールを手前に入れることで”動き”がつくとともに、どこか懐かしさを感じる1枚になりました。
ひと言に江ノ電といっても、撮影地や撮り方によっていろいろな表情があると再確認しました。これまでも街のスナップを見たり、撮ったりするのが好きでしたが、今回学んだ技術を使えば別の景色が見えてくるかも!?カメラがより楽しくなりそうです。
※カメラ女子への激励や、しょうめい先生に教えてほしいことなどご意見・ご感想を募集します。編集部(question@metropolitana.jp)までどしどしお送りください!
しょうめい先生 新聞社で報道写真を撮り続けて40年以上のベテランカメラマン。ライフワークとして鎌倉の景色を撮り続けるほか、某大学芸術学部の写真学科で講師も務める。鎌倉ドローン協会の理事の肩書きを持ち、最新の撮影グッズにも精通している。
Illustration:Nozomi Yuasa
※隔週水曜掲載