「めっちゃ新宿ですねー」。場所は新宿・歌舞伎町。西武新宿駅近くにそびえる高層ビル。この4月に開業したばかりの東急歌舞伎町タワーに行ってきました。
新宿ミラノ座の跡地に建つこのビル。足元はいまも雑多な繁華街で人々がざわめく場所です。そこに忽然と現れたこのビルには、たくさんの施設が詰まっています。リリースには「国内最大級のホテル×エンタメ施設からなる超高層複合施設」と紹介され、絶景ホテルも、坂本龍一氏監修の音響が素晴らしい映画館も、クラブも、ライブホールも、さらにはネオン街を再現したカオスなフードホールやアミューズメントコンプレックスのフロア、会員制ウェルネスクラブまで揃います。際限ない人間の欲望に応えるようだと友人から発せられたのが「めっちゃ新宿」という言葉でした。
コロナの水際対策が緩和されてから、どっと拡大してきたインバウンド需要。東京もいまやすっかり海外からの旅行客が街にあふれるくらいの勢い。なかでも、最近とくに人が集まっているなと思うのが新宿です。ちょっと前に歌舞伎町にある知り合いのバーを訪れた際も、24時を回っても歌舞伎町にはとにかく人があふれていました。新宿東宝ビルの周辺にはいまも “トー横キッズ”たちが集まっていたり、ホストクラブの客引きがあったり。とにかく雑多な新宿の夜の光景が、色濃く戻っていました。その中を縫うように、海外からの観光客が右往左往。まさにカオスです。
昼の新宿も人でいっぱいです。売上高が過去最高の実績を達成しそうという伊勢丹新宿本店も、ショッピング客で沸いています。歌舞伎町を抜けて大久保通りまで出れば、新大久保エリアもすぐそこ。韓流グッズや韓国グルメの店にあちこちで行列ができています。週末は近隣の道路にも渋滞ができるほどの人気です。ラグジュアリーな新宿から、奥に行けば韓流、そして夜になれば歌舞伎町やゴールデン街、新宿二丁目のディープな世界まで。あの不夜城、新宿が戻ってきました。
この雑多さこそ、クールジャパンなのです。表と裏。光と影。数々の欲望がむき出しになっている歌舞伎町。NYでもパリでも、ここまで節操のない場所はありません。そういう意味で「欲望の世界遺産」とも言える新宿は、国内外から人を惹きつけます。
この地に生まれた東急歌舞伎町タワーもまるで不夜城のようです。中に入っている「ZERO TOKYO」はイベントによっては早朝近くまで盛り上がる、久々のエンタメ型大箱クラブです。歌舞伎町の雑多さをシームレスにつないで、夜の街の起爆剤になりそうです。
このタワーの1F、ホテルエントランスには森山大道氏が切り取った新宿の写真が展示されています。古くから新宿はサブカルチャーが生まれる場所でした。花園神社には芝居小屋が立ち、 数々のハプニングがあり、ゴールデン街には文化人が集まるバーがあり、アンダーグラウンドな魅力にあふれていた場所。開業に向けたキーヴィジュアルには「DIVE IN」とのキャッチコピーが掲げられていましたが、新宿というカオスな世界に飛び込むようなタワーから、どんなカルチャーが放たれるのか。新たな“新宿エンターテインメント”にワクワクしますね。
THIS MONTH'S CODE
#東急歌舞伎町タワー
地上48階、地下5階。羽田空港と成田空港に直通するバスも運行し、まさに空港直結の東京の新しい玄関口に。
#トー横キッズ
近年、社会問題としても注目を集めた。これも新宿の一つの風景。
#過去最高の実績を達成しそうという伊勢丹新宿本店
ハイブランドなどの売上が絶好調という。2022年度累計で、1991年度に記録した年間の最高売上高を更新する見込み。