illustration: Shogo Sekine

派手かわいい #NEOデコラ族《東京#CODE》


 私の小さな友達(小学校一年生)が「ねえ、竹ぱらに会ったことある?」と聞いてきました。タケパラ?そう、それは最近子供たちの間で爆発的な人気を誇る「竹下☆ぱらだいす」。カラフルな髪、ポップな衣装、シールでデコったメイクの3人組です。TikTokなどで話題になり、ただいまSNS総フォロワー360万人超えとか。人気爆進中です。そんな自称・原宿クリエイターアイドル、竹ぱらが歌って踊って伝える”見た目にこだわらない”というメッセージ。髪色もピンク、イエロー、ブルーで、まさに”ダイバーシティ時代のアイドル”って感じ。各地のショッピングモールで開催されるライブでは、派手なヘアスタイルやビーズアクセで着飾った竹ぱらファンの小学生が殺到しています。

 この派手なファッション、既視感がありませんか? 古くは昭和時代の竹の子族であり、90年代のシノラーであり、平成のきゃりーぱみゅぱみゅ、そして令和のいまではフワちゃんに通じるあのデコラ感。

 昨年あたりから原宿近辺では「NEOデコラ族」と言われる“族”も登場しています。ヴィヴィッドな色の小物やファッションで全身をデコレーション=デコラするこのスタイルは、90年代後半に第一次ブームを迎えました。その中心が『CUTiE』、『Zipper』などの青文字系雑誌やシノラー(篠原ともえさんのファン)でした。そのファッションが現代にリバイバル。前述のNEOデコラ族を率いているのは、17歳のNICOさんです。NICOさんのインスタグラムは、カラフルなデコラファッションにあふれています。月に一回、SNSでつながったデコラーたちと原宿を練り歩く「NEOデコラ会」を運営。竹下通りに、デコラ族が復活です。

 ラフォーレ原宿の「愛と狂気のマーケット」では、デコラなビーズやぬいぐるみアクセサリーをつくるクリエイターたちが集合していて、いまや一つのカテゴリーとして成立しています。なかでも人気はビーズアクセ。ハートや星型など、カラフルなパーツを組み合わせてネックレスにしたり、ブレスにしたり、ヘアアクセにしたり。とにかく盛り盛りなのがかわいいので、DIYしてオリジナルをつくったり。デコラ族はブランドを求めるのではなく、オリジナルなスタイルが特徴です。

 α世代やZ世代で広がっているこの現象。ポイントはいくつかあります。①アクセサリーは基本、自分でDIY ②ジェンダー関係なし ③とにかく派手ならNOルール。お金がかかるロリータファッションと比べても、デコラファッションは安カワが基本。《SHEIN》や100均のアイテムでオリジナルを楽しめるからこそ、小学生も楽しめる。

 こうした原宿発のKawaiiスタイルの源流を辿っていくと、増田セバスチャンさんの存在があります。「6%DOKIDOKI」というショップから始まり、今年はNYにKawaii文化を体験できる回転寿司レストランまでオープンさせたアーティストの増田さんがつくる世界観が、このデコラ族たちへつながり、いまや海外にもファンを広げています。

 原宿から生まれたデコラ族は、既存の大人ファッションへのアンチテーゼ。誰にも邪魔されず、自分らしく装飾すること。その無限の創造性こそ、世界に誇る原宿のパワーなのです。

THIS MONTH'S CODE

#竹下☆ぱらだいす

リーダーはあぃりDX(バズーカピンク担当)、だーごくん(メンヘラブル~担当)、しんぢくん(キラキライエロー担当)の3人組。

#NICO

デジタルクリエイター。最先端のデコラファッションを発信し続けている。

#増田セバスチャン

原宿のKawaii文化の第一人者として知られ、その魅力を世界各国に広く知らしめたアーティスト。きゃりーぱみゅぱみゅのMVの美術なども手がけた。





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