主演と演出、城田がその両方をやる理由
ブロードウェイミュージカル「カーテンズ」の日本版が、今月から幕を開げる。主演は、城田優。彼は、役者としてだけではなく、演出家としてもこの舞台に参加する。
「演技と演出、どちらかひとつやるだけでも大変なのに、ふたつを両立させることは、とても大変です。マラソンをしながら、落語をやるみたいな感じでしょうか(笑)」
では、そのイバラの道をなぜ城田は選んだのだろう?
「演出家は、舞台の方向性を示し、導くリーダー。主演俳優は、作品のコアとなり、カンパニーの空気をつくり、キャストを引っ張っていく存在です。その両方をやることによって、僕が理想と考える作品を実現することが可能になるんです。もちろん、演出と主演を1人の人間が行うことのリスクもありますが、うまくいけば特別面白い舞台をつくりあげることができるはずです」
本作の舞台は、1959年のアメリカ。舞台公演中のとあるカンパニー内で起きた殺人事件に、城田演じるミュージカルオタクの刑事チョフィが駆けつける。事件解決に奔走するチョフィだが、気になってしまいつい舞台の演出にも口を出すというコメディタッチの作品だ。
「コメディだからといって、わかりやすく笑いを取りにいくような演出をしていくつもりはありません。役者が、真面目な演技をすればするほど、シュールで滑稽な笑いが起こる作品だと、僕は解釈しています。いまは稽古中ですが、演出やセリフについては、公演ギリギリまで悩んでいくと思います」
本作には、三浦翔平や菅井友香などミュージカル初出演となる俳優も抜擢。このキャスティングも、城田の挑戦のひとつだという。
「ミュージカルは、役者にとって難易度の高い舞台です。だから彼らにとっても、大きな挑戦になるのではないかと思います。でも、彼らが出演することによって、より多くの観客に作品を届けることができるはずだし、彼らをどれだけ高いレベルに引き上げられるかも僕の今回の挑戦です。ミュージカルは、心に栄養や潤いを与えてくれる存在だと僕は思っています。コロナ禍のいまは大変な時期ですが、舞台を見ている数時間だけは夢の世界にいられるというか、ハッピーな感情やポジティブなエネルギーを観客に届けられるようにしたいです」
ブロードウェイの大ヒット作品を、城田がどう表現するか、劇場に足を運び確認したい。
演出/チョフィ役
城田優
1985年12月26日生まれ、東京都出身。2003年に俳優デビュー以降、ドラマ、映画、舞台など幅広いジャンルで活躍
ミュージカル『カーテンズ』
会期:2月26日(土)〜 3月13日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールC
https://www.curtains-musical2022.jp
《CAST》
フランク・チョフィ 城田優
ニキ・ハリス 菅井友香
ボビー・ペッパー 三浦翔平
ジョージア・ヘンドリクス 瀬奈じゅん など
《STORY》
舞台は1959年のボストン・コロニアル劇場。新作ミュージカル「ロビン・フッド」はブロードウェイに向けトライアウト公演の真っ最中。主演女優のジェシカは才能は無いのにプライドだけは高く、評判が悪かった。そんななか、公演初日にジェシカが舞台上で何者かに殺害されるという事件が発生した。駆けつけたミュージカルオタクの警部補、フランク・チョフィ(城田優)は事件の解決を急ぎながらも、その舞台作品が気になりはじめ、事件同様に舞台の内容に首を突っ込みはじめる…。
